漢文の「而(じ)」の意味を解説!(置き字・例文付き) 「而して」「而るに」「而も」 | ハナシマ先生の教えて!漢文。

漢文の「而(じ)」の意味を解説!(置き字・例文付き) 「而して」「而るに」「而も」

1、「而」の意味 一覧

①(置き字で)前後の文章が順接の関係(=~であり、それから~)であることを表す。
→直前の送り仮名は「~テ」or「~シテ」
→特に訳さなくてよいケースも多い。
②(置き字で)前後の文章が逆接の関係(=~であるが、しかし~)であることを表す。
→直前の送り仮名は「~モ」or「~ドモ」or「~シテ」
③(置き字で)前後の文章が条件―結果の関係(=~であれば~)であることを表す。
→直前の送り仮名は「~シテ」
④(置き字で)前後の文章が並列の関係(=~であり、また~)であることを表す。
→直前の送り仮名は「~テ」or「~シテ」
⑤(置き字で)前後の文章が累加の関係(=~であり、さらに~)であることを表す。
→直前の送り仮名は「~テ」or「~シテ」

①と②の意味は真逆ですが、直前の送り仮名がどちらも「~シテ」となる可能性があるのややこしすぎですね…笑💦
というか、どの意味も直前の読みがほぼ共通しているので、結局は文脈から意味を判断するしかありません!「而」前後の関係性がどれにあたるのか推察してみましょう!

「而」を読む場合もあるので注意!(特に文頭に「而」が来る際には読まれやすい。意味は共通。)
①④の意味→「而(しこう)シテ」
②の意味→「而(しかる)ニ」「而(しかれ)ドモ」「而(しか)モ」
③の意味→「而(すなわ)チ」
⑤の意味→「而(しか)モ」

【「而」の慣用表現】
・而後(而る後に)→その後に
・而已(のみ)or而已矣→(文末に置き)~だけである。

2、「而」の例文 意味付き

【例文(意味ごと)】
※「’」がついているのは、「而」を読むパターンの例文

①兎走触株、折頸死。(兎走りて株に触れ、頸(くび)を折り死す。) 
→ウサギが走って(木の)切り株にぶつかり、首(の骨)を折り、そして死んだ。(『韓非子』)

①’蚌正出曝。鷸啄其肉。(蚌(ぼう)正に出でて曝(さら)す。而して鷸(いつ) 其の肉を啄(ついば)む。)
→貝がちょうど(水から)出てきて、日に当たっていた。そして、シギが貝の肉をクチバシでつついた。(『戦国策』)

②人不知不慍、不亦君子乎。(人知らずして慍(うら)みず、亦た君子ならずや。)
→他者が(自分の価値を)理解してくれなくても、不満に思わない。(こういう人こそ)立派な人物ではないだろうか。(『論語』)

②子欲養親不待。(子 養なわんと欲すれども親待たず。)
→子どもが(親を)養おうとしても、(そう思ったときには既に親は亡くなっていて)待ってはくれない。(『韓詩外伝』)

③莫三人迷。(三人にして迷う莫し。)
→三人であれば迷うことはない。(『韓非子』)

④侈惰者貧。(侈(おご)り惰(おこた)る者は貧す。)
→贅沢ばかりしていて、また怠ける人間は貧乏になってしまう。(『韓非子』)

⑤任重道遠。(任重くして道遠し。)
→責任が重い上に、(目的達成までの)道のりも遠い。

②逆接の「而」は、「人知らずして慍(うら)みず」で分かるように、前の読みが逆接っぽくなくても逆接の意味になることがあるので注意!

3、「而」を解釈するポイント

ポイント①→「而」は前後の関係性を示す語で、文脈を読むために便利!
①~⑤までで分かる通り、「而」は前後の文章or語の関係性を示す語です。置き字で直接読むことは少ないですが、しっかり意味はある語なので、しっかり理解できると、文脈を読む助けになります。

ポイント②→基本的には①②③の意味を抑えておけばOK!
「而」が表す前後の関係性は割と多いですが、①②を抑えておけば7割方は大丈夫です。
③④⑤の意味はたまに見る程度です。
そして、読解する上で見落とすと痛いのが②③です。②「逆接」と③「条件―結果」は解釈できていないと、文脈が良く分からなくなるので、「而」がある文章で意味がいまいち分からない場合は、ためしに②か③の意味で解釈してみましょう!

ポイント③→「而」を読むこともある!
「而」は、前後の関係性を示す置き字として用いられることが多いですが、文頭に「而」が来る場合は、「而」自体を読むこともあります。このパターンも抑えておくと万全です。

個人的に、②逆接なのに「而(しかる)ニ」のように、あたかも順接みたいに読む習慣が気に入りません…笑。素直に「而(しかれ)ドモ」のような一目で逆接と分かる読みへ統一してもらったほうが読みやすいのに!笑

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