朝三暮四の例文とは? この世は朝三暮四で満ちあふれている?

1、朝三暮四(ちょうさんぼし)の意味・例文について

【意味】
①目先の違いに囚われて、結局は同じ結果であることが分からないこと。
②うまく言葉を使って人をだまそうとすること。

①は受ける側、②はする側の意味ですが、どちらも「物事の本質を捉えていない」という批判的・否定的意味という点では一緒です。

【例文】

・3万円の服を買うのに躊躇していたが、3000円の10回払いにもできると店員に言われ、安く感じて買ってしまった。結局支払う値段は変わっていないから、朝三暮四と言わざるを得ない。(①のパターン)

・台風で学校が休みになって喜んだが、後日補講があったため、朝三暮四であった。(①のパターン)

・環境保全のために石油自動車ではなく電気自動車を購入したが、電気の大半は石油を燃やしてできているため朝三暮四であり、結局意味はなかった。(①のパターン)

・浮気した彼氏に「お前だけを愛している。もう浮気はしない。」と言われて許したが、その後も浮気を繰り返されて結局別れた。彼の行為は朝三暮四であり、彼女はだまされてしまった。(②のパターン)

・食品のネット通販では、実際より見栄えの良い商品写真を用いたり、宣伝を誇張をしたりといった朝三暮四が散見する。(②のパターン)

①=愚かに騙される
②=詐欺をはたらく
みたいなイメージです。
4つの例文はどれもあるあるかもしれません。人の愚かさを表現する際、朝三暮四を用いられることが多いです。

2、朝三暮四の由来は?『列子』(れっし)

【原文】
 宋有狙公者。愛狙養之成群。能解狙之意、狙亦得公之心。損其家口、充狙之欲。俄而匱焉。将限其食、恐衆狙之不馴於己也。先誑之曰、「与若芧、朝三而暮四、足乎。」衆狙皆起而怒。俄而曰、「与若芧、朝四而暮三、足乎。」衆狙皆伏而喜。

 物之以能鄙相籠、皆猶此也。聖人以智籠二群愚一、亦猶狙公之以智籠衆狙也。名実不虧、使其喜怒哉。(『列子』)

【書き下し】
 宋に狙公そこうなる者有り。を愛し之を養いて群を成す。能く狙の意を解し、狙も亦た公の心を得たり。其の家口を損して、狙の欲を充たせり。にはかにしてとぼし。将に其の食を限らんとし、衆狙しゅうその己に馴れざらんことを恐る。先ず之をあざむきて曰く、「なんぢとちを与うるに、朝に三にして暮に四にせん、足るか。」と。衆狙皆起ちて怒る。俄かにして曰く、「若に芧を与うるに、朝に四にして暮に三にせん、足るか。」と。衆狙皆伏して喜べり。

 物の能鄙(のうひ)を以て相籠(あいろう)すること、皆猶お此のごときなり。聖人の智を以て群愚(ぐんぐ)を籠する、亦た猶お狙公の智を以て衆狙を籠するがごとし。名実虧(か)けずして、其れをして喜怒せしむるかな。

【現代語訳】
 宋に狙公という者がいた。(狙公は)サルを愛して養い(サルは増えていって)群れを作った。(狙公は)サルの気持ちを理解することができ、サルもまた狙公の気持ちが分かった。(狙公は)自分の家族の食事を減らしても、サルの食欲を満足させた。(しかし)突然、貧乏になった。(そこで)サルの食事を減らそうとしたが、サルたちが自分に懐かなくなることを恐れた。まず、サルをだまそうとして言った。「お前たちにトチの実を与えるのに、朝は三つ、夕方に四つにしよう。足りるか?」と。サルたちはみんな立ち上がって怒った。(そこで彼は)すぐに(言葉を変えて)言った。「お前たちにトチの実を与えるのに、朝は四つ、夕方に三つにしよう。足りるか?」サルたちはみんなひれ伏して喜んだ。

 (すべての)物事は賢い者と愚か者がだまし合っていることは、全てこの話と同じである。聖人が(自らの)知恵で愚か者どもを言いくるめてしまうのは、ちょうど狙公の知恵で猿たちを言いくるめるのと同じだ。名(=言葉)と実(=内容)は全く変わらないのに、(愚か者を)怒らせたり喜ばせたりしているにすぎないのだ。

【注釈】
①狙公(そこう)…人の名前。「狙」はサルを指すので、直訳すると「狙公」=「サル飼いのダンナ」のような意味となる。
②狙(そ)…サルのこと。
③家口…家族の食事のこと。
…乏しいこと。ここでは特に貧乏になること。
⑤能鄙…「能」は賢い者、「鄙」は愚か者のこと。
⑥名実…「名」は表面的なもの。ここでは特に「言葉」を指す。「実」は中身のこと。ここでは特に「言葉で述べる内容」のことを指す。

言葉の表面的な意味で一喜一憂する我々は、この話のサルと同じということになります。
バカにされているようで嫌ですが、一理あるのが辛い所…笑

言葉で他者に自分の気持ちや意図を伝えること、他者からの言葉で気持ちや意図を読み取ろうとすることは大切です。しかしこの話のように、言葉を表面的に信じず冷静になり、その奧にある意図に気付くことも大切です。

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