皆さんこんにちは。本日は、漢文の特徴を4つ紹介します。このページを読み、漢文の全体像を掴みましょう!
1、政治的・教訓的な内容が多い
・ギリシャ思想が哲学的(アリストテレス・ソクラテス)、インド思想が宗教的(バラモン教・仏教)とするなら、中国思想は政治的であり、「いかに民衆を統治・教導すべきか」という統治者目線からの内容が大半を占める。
・ただし、今回取り上げる内容は、具体的な実施政策というよりは、基本的理念(例:人はどのように生きるべきか)に対する記述が多く、現代人の我々から見ても考えさせられる内容が多い。その意味では、教訓的と表現することもできる。
・なぜ漢文は政治的・教訓的なのか?これは、その書き手・読み手が士大夫(したいふ)であったことによる。士大夫とは、国に仕える官僚かつ裕福な地主かつインテリのことを指す。漢文の主な書き手の官僚が最も関心を持つのが政治であるため、漢文が政治的・教訓的になることは自然であった。
(なお、インドではバラモン=司祭が強い権力を持っていたことから、思想も宗教的となった。)
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2、文学作品(漢詩など)が豊富
・漢文の中でも、律詩や絶句など、特に形式を調えた文学作品が豊富に残されている。
・なぜ漢文において文学の占める割合が多いのか?それは、1と同様で、漢文の主な書き手は士大夫だったことによる。
・中国では、伝統的に「立派な知識人は美しい詩を作れるべき」という価値観が存在していた。さらに、士大夫になる条件である科挙(=官吏任用試験)の試験科目に作詩がある。このように、伝統的に士大夫は作詩能力が求められた。そのため、漢文には文学作品が多く含まれている。
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3、比喩表現が豊富である一方、論理性が薄い
・漢文の内容は、何かを説得したり、主張するために書かれることが多い。それをうまく表現するため、比喩表現(例え話)が頻繁に用いられた。一方、「AだからB、BだからC」のような論理的展開に基づいた説得をあまり行わなかった。
・中国思想で生まれた比喩表現のうち、特に優れたものは「故事成語」として日本でも定着し、現代でも用いられている。
(例)矛盾・逆鱗・杞憂・朝三暮四・顰みに倣う・木鶏・胡蝶の夢・五十歩百歩・蛇足・完璧・呉越同舟・井の中の蛙大海を知らず・漁夫の利・虎の威を借る狐etc…
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4、可能な限り簡略に書かれている
・漢文の文章は、簡略に書かれている。主語や目的語などはもちろん、表現したほうが分かりやすい部分もあえて削り、洗練させている。
→これは、1で述べた通り、漢文の書き手・読み手が政治家、つまりエリートであることが深く関係している。エリートは懇切丁寧に長く説明した文章より、簡潔で要領よく説明した文章を好んだので、漢文には省略が非常に多い。
→従って、漢文を読解する際には、積極的に補足する必要がある。
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