男同士の友情と別れの漢詩 9選 | ハナシマ先生の教えて!漢文。

男同士の友情と別れの漢詩 9選

こんにちは。本日は「男同士の友情と別れの漢詩 9選」ということで、漢詩を9つ紹介させていただきます。

こんにちは💡漢詩と友情って、教科書でも李白の「黄鶴楼にて孟浩然の 広陵に之くを送る」が紹介されているから、何となくイメージはあります。

そうですね。「黄鶴楼~」はとても有名ですが、これ以外にも沢山友情や別れを題材とした作品があるので、是非ご覧になってみて下さい✨

なお、本ページに似た内容として、以下のページがありますので、よかったらどうぞ!

ポイント

  • 漢詩には友情や友人との別れを題材としたものが多い。李白と孟浩然、李白と杜甫、王維と孟浩然など、詩人同士は仲が良いことが多い。
  • 1、「黄鶴楼にて孟浩然の 広陵に之くを送る」は、とても好きだった友人と別れるのが寂しくて、友人が乗っている舟をいつまでも見送ってしまう点が特徴的な作品。
  • 2、「孟浩然に贈る」は、李白の孟浩然への強い憧れや尊敬の気持ちが特徴的な作品。
  • 3、「范曄に贈る」は、遠くにいる友人に対し、梅の花で春の訪れを知らせる粋な作品。
  • 4、「酒を()んで(はい)(てき)に与う」は、試験に受からない友人を優しく励ます作品。作者(王維)の優しさが際立っている。
  • 5、「春日 李白を憶う」は、杜甫がとても李白のことを好きで尊敬しているのが分かる点で特徴的な作品。
  • 6、「魯郡の東 石門にて杜二甫を送る」は、別れの詩なのに、どこか明るい雰囲気が漂っている点で特徴的な作品。
  • 7、「元二の安西に使するを送る」は、「新天地には友人がいない」という表現で友人を心配する点で特徴的な作品。
  • 8、「王永を送る」は、「これから誰と遊べば良いのか」という表現で名残惜しさを表している点で特徴的な作品。
  • 9、「酒を勧む」は、「人生には別れが付きもの」という表現であえて別れの寂しさや名残惜しさを和らげている点で特徴的な作品。
  • 酒と柳は、別れにゆかりの深い言葉。

1、憧れの人との別れの寂しさを詠(うた)う 李白「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る

友情と別れの詩 その1

李白(りはく)・「黄鶴楼送孟浩然之広陵(黄鶴楼(こうかくろう)にて孟浩然(もうこうねん)の広陵(こうりょう)に之(ゆ)くを送る)」

【現代語訳】

親しい友人(である孟浩然)は、西に位置する黄鶴楼で(私に)別れを告げ、春の美しい霞がたなびく3月、楊州へ(舟で)下っている。

孤独に浮かぶ帆の影は遠く、碧色の空に吸い込まれ、(私は)ただ長江が天の果てまで流れている(のを見送っている。)

【原文・書き下し】

故人西辞黄鶴楼 故人 西のかた黄鶴楼を辞し

烟花三月下揚州 烟花三月 揚州に下る

孤帆遠影碧空尽 孤帆の遠影 碧空に尽き

唯見長江天際流 唯だ見る長江の天際に流るるを

【注釈】

七言律詩。

故人=親しい友人。

広陵=現在の江蘇省に存在していた行政区画。揚州=広陵の地名が改められたもの。広陵と楊州はどちらも同じ場所を示している。(江戸と東京のような関係)

黄鶴楼=当時の観光名所。烟花=「花がすみ」という種類の花。ピンク色の綺麗な花。もしくは、「かすんで見える花」という意味で、遠くに咲いている花を描写している。

味わうポイント

・李白は孟浩然のことをとても尊敬していました。強い憧れの対象であった孟浩然と別れるのは、李白にとってどれほど辛かったでしょうか?想像してみましょう。

・李白は孟浩然の地位や名誉に囚われない生き方が大好きで尊敬していましたが、あなたは友人のどのような所が好きですか?

・自分が大切な友人と別れる場面を想像してみましょう。どのような感じになりそうですか?

・「唯だ見る長江の天際に流るるを」について、李白は孟浩然が乗った舟をいつまでも見送っています。これはどのような心情を示しているのでしょう?

・あなたは、大切な友人を見送った後、いつまでもその場に止まり、バスや電車などの乗り物を目で追ってしまったことはありますか?

黄鶴楼
長江
烟花(画像は奈良の桜)

中学校の教科書で有名なやつですね💡

そうですね。この作品を味わうポイントは、「孤帆の遠影 碧空に尽き」ですね。とても仲の良い友人を見送る際、いつまでも友人の乗った乗り物を目で追いかけていることが分かります。

私も仲の良い友だちを見送る時、友だちが乗っている自動車をずっと見送ったことが分かるから、良く分かります。それくらい仲が良くって寂しかったんですね💦

友人を寂しく見送った経験がある方は、この作品をとても味わって読むことができると思います✨

2、孟浩然への強い尊敬の念を伝える 「孟浩然に贈る」

友情と別れの詩 その2

李白(りはく)・贈孟浩然(孟浩然に贈る)

【現代語訳】

私は孟先生にとても憧れています。あなたの風流な生き方は、天下の誰もが知っています。

お若い時から立身出世には見向きもせず、白髪頭になるまでずっと山奥で暮らされており、生い茂る松と空に浮かぶ雲に寝そべり、(隠者として高潔に生きておられる)。

月を愛でてはしばしば酔っ払い、花に心を奪われて宮仕えをなさらないとか。

高くそびえ立つ山(のようなお方で)、仰ぎ見られないほど(立派です)。ただここで、その清々しい香り(=生き様)に、心から敬意を捧げさせて下さい。

【原文・書き下し】

吾愛孟夫子 吾は愛す孟夫子

風流天下聞 風流 天下に聞こゆ

紅顔棄軒冕 紅顔 軒冕を棄て

白首臥松雲 白首 松雲に臥す

醉月頻中聖 月に醉いて頻りに聖に中り

迷花不事君 花に迷いて君に事えず

高山安可仰 高山安んぞ仰ぐべけんや

徒此揖清芬 此より清芬に揖す

【注釈】

七言律詩。

紅顔=若い頃。軒冕=偉い人が乗る車と帽子。転じて「高い地位」を表す。

白首=白髪頭。「首」は「頭」。聖=酒の隠語。清芬=清々しい香り。ここでは孟浩然の高潔な生き様のたとえ。

七言律詩。

味わうポイント

・あなたには、友人のどのような部分を尊敬できますか?

・尊敬できる所を友人に伝えたことはありますか?

李白さん、めちゃくちゃ孟浩然さんのこと尊敬していますね笑

李白は、孟浩然のような出世に執着しない生き方にもとても憧れており、孟浩然を非常に尊敬していることが分かりますね
ここでは、隠者の思想を知っていないと中々理解しづらいと思います。

隠者って、才能があるのにあえて世の中を避けてひっそりと生きている人でしたっけ?その生き方をしているのが孟浩然で、李白はそれを尊敬しているということですね!

その通りです。まぁ李白は生涯、出世にバリバリ執着していましたが笑

3、遠くにいる友人に梅の花で春の訪れを知らせる 陸凱「范曄に贈る

友情と別れの詩 その3

陸凱(りくがい)・「贈范曄(范曄に贈る)」

【現代語訳】

梅の花を折って配達員に会って(手紙と共に渡し)、(私がいる江南より春の来るのが遅い)隴山のほとりにいる君に贈る。

(私の居る)江南には(田舎で)何もないが、ひとまずこの一枝の春(である梅の枝)を(君に)贈るのだ。

【原文】

折花逢駅使 寄与隴頭人

江南無所有 聊贈一枝春

【書き下し】

花を折りて駅使に逢い 隴頭の人に寄与す

江南有る所無し 聊(いささ)か一枝の春を贈る

【注釈】

五言絶句。駅使=手紙の配達員 隴山(ろうざん)=都の長安の西北にある山 江南=現在の浙江省・江蘇省あたりの呼び名。比較的南のほうであり、気候は長安と比べ温暖。

味わうポイント

・あなたには、遠く離れた友人に何かを送ったことがありますか?あるいは、手紙を送ったことがありますか?

「一枝の春」が梅の花の枝な所がオシャレで素敵です✨

良い所に注目しましたね。「一枝の春」は「春に咲く梅」という意味の故事成語として、現代日本語としても存在しています。

昔の人も素敵だと思ったのかもしれませんね!

そうだと思います💡
作者(陸凱)のこの機転も素敵ですが、これを遠くにいる友人に贈っている所も風流で微笑ましいですね✨

受け取った人は嬉しくなったでしょうね✨
SNSで上げたらバズりそうです笑

かなり「いいね」もらえそうですね笑
なお、梅はよく漢詩に登場するので、よかったら下のページもご覧になってみて下さい💡

4、試験に受からない友人を優しく励ます 王維「酒をんではいてきに与う」

友情と別れの詩 その4

王維(おうい)・酌酒与裴迪(酒を酌(く)んで裴迪(はいてき)に与(あた)う)

【現代語訳】

酒をついで君に差し上げる。まぁ一杯飲んで、ゆったりした気分になると良い。

人間の感情なんて、良い時も悪い時もあって、それはまるで打ち寄せる波のようである。

白髪頭で(共に年老いた友人同士)だって、利害のためには剣を取って(争う)こともあるし、家柄が良くて先に出世した人たちは、うだつが上がらず、(自分より下で)自分を引き上げて欲しいと願う者たちを冷ややかな目で(見てバカにしている。)

(低俗な)雑草は恵みの雨を受けてつやつやと湿っているのに、(雅やかな)枝の花は、つぼみが開こうとしても、そこに吹く春風は冷たいものだ。

(このように、君より才能のない人がたまたま恵まれてうまくいっているだけである。そして素敵な君は、まだ飛躍の時期が訪れていないだけで、一時的に厳しい状況なだけなのだ。)

人の世の事柄は、まるで浮き雲(のように定まりがたくはかないものだから、)どやかく言っても仕方が無いよ。(そんなことは考えず)世俗のしがらみから離れ、ご飯でも食べてゆっくりすることだ。

【原文・書き下し】

酌酒与君君自寬 酒を酌んで君に与う 君自ら寬(ゆる)くせよ

人情翻覆似波瀾 人情の翻覆は波瀾に似たり

白首相知猶按剣 白首の相知も猶お剣を按じ

朱門先達笑弾冠 朱門の先達は弾冠を笑う

草色全経細雨湿 草色は全く細雨を経て湿い

花枝欲動春風寒 花枝は動かんと欲するも春風寒し

世事浮雲何足問 世事は浮雲 何ぞ問うに足らん

不如高臥且加餐 如かず 高臥して且く餐を加えんには

【注釈】

七言律詩。翻覆=浮き沈み。 波瀾=打ち寄せる波。 白首=白髪頭の老人。  

草色=雑草だが、ここでは暗に友人(裴迪)を差し置いて順調にキャリアを積んでいる人を指す。

花枝=雅やかな枝の花だが、ここでは暗に友人(裴迪)を指して励ましている。

※この作品は、王維が年下の友人である裴迪が科挙に受からず、うまく出世できない時に贈った作品。

味わうポイント

・あなたは、友人が失敗した際、どのような態度を取りましたか?

・あなたが失敗した際、周りの友人は、あなたにどのような言葉を投げかけてくれましたか?

作者の王維さんめちゃくちゃ優しい…
特に「草色は全く細雨を経て湿い 花枝は動かんと欲するも春風寒し」の部分が凄く良いなと思います✨友だちを「花枝=(雅やかな)枝の花」にたとえて、「まだ周りに認められる時期が来ていないだけだよ」と伝えている所が心憎いです!

個人的に、この作品は友情関係の漢詩の中で1番好きです✨何かに失敗した時、友人にこのような言葉で励まされたら、すごく助かるなぁと思います💡

私も王維と同じ状況になったら、こんな感じで友だちを優しく励ましてみようと思います!

5、遠く離れた友人を褒めちぎって再会を望む 杜甫「春日 李白を憶う」

友情と別れの詩 その5

杜甫・春日憶李白(春日 李白を憶(おも)う)

【現代語訳】

李白よ、(あなたの)詩は敵がいない(ほど優れていて)、 世間に縛られず、自由闊達としていて、とびきり情感豊かである。

新鮮であることは庾信(のよう)であり、優れていることは鮑照(のよう)である。

(私は)渭北の春の木(におり)、(あなたは)の日暮れの雲(を見ている)。

いつか樽に入った酒を飲みながら、(また)何度も一緒に細かく文学について語りましょう。

【原文・書き下し】

白也詩無敵 飄然思不群 白や詩 敵無く 飄然として思い群ならず

清新庚開府 俊逸鮑参軍 清新 庚開府  俊逸 鮑参軍

渭北春天樹 江東日暮雲 渭北 春天の樹 江東 日暮の雲

何時一樽酒 重細与論文 何れの時か一樽の酒 重ねて与に細かに文を論ぜん

【注釈】

五言絶句。庾信・鮑照=共に南北朝時代の有名な詩人。 

渭北(いほく)=都である長安付近を指す。 江東=現在の江蘇省・浙江省あたり。 

味わうポイント

・李白と杜甫は、文学談義で盛り上がっていたようですが、あなたは、友人と同じ話題で盛り上がりますか?

・あなたは、友人を誉めることがありますか?

この作品は、杜甫が李白と別れてた後に、李白を想って作った作品です💡

李白と杜甫ってどっちも有名だけど、知り合いだったんですね。はじめて知りました💦

2人の関係は、意外と知られていませんよね。ちなみに、李白が杜甫より11歳年上です💡

杜甫は年上の李白のことをすごく尊敬していたんですね✨

尊敬はもちろんしていましたが、冒頭で「白よ」と読んでいることから、同時に強い親愛の情も読み取れます。

「白」って「李白」の「白」ですよね?なんでこれで親愛の情になるんですか?

この呼び方は当時の常識だと失礼だからです。
当時、名前を呼んで良いのは親or上司のような上位の存在か、相当仲の良い親友のみです。李白は杜甫より年上であり、特に上官という訳ではないので、ここでは親愛の情を読み取ることができます。

はえー…なんだか歴史ならではの豆知識って感じがして面白いです💡

ちなみにこの文化と深い繋がりがあるのが「字(あざな)」です。字については、以下のページで解説しているので、よかったらどうぞ💡

6、明るい雰囲気が漂う別れの詩 李白「魯郡の東 石門にて杜二甫を送る」

友情と別れの詩 その6

李白・魯郡東石門送杜二甫(魯郡の東 石門にて杜二甫を送る)

【現代語訳】

別れ(を惜しんで)酒を酌み交わしているうちに、また何日経っただろう。 ともに山に上り、池のほとりを歩き、いたる所を見てまわった。

もうこの石門の道に立って、ふたたび杯を交わすことも無いだろう。

秋の澄んだ波が泗水に起こり、海の青々とした輝きが徂徠山に照り映えている。

私たちは風に吹かれて飛んでいく蓬のように、それぞれ遠い道のりを進む。(しかし)ひとまずは手中の杯をのみほそう。

【原文】

酔別復幾日 登臨偏池台

何時石門路 重有金樽開

秋波落泗水 海色明徂徠

飛蓬各自遠 且尽林中盃

【書き下し】

別れに酔うこと 復た幾日(いくにち)ぞ、登臨(とうりん) 池台(ちだい)に偏(あまね)し。

何(いず)れの時にか石門の路にて、重ねて金樽(きんそん)の開くこと有らん。

秋波(しゅうは) 泗水(しすい)に落ち、海色(かいしょく) 徂徠(そらい)に明るし。

飛蓬(ひほう) 各自遠し、且つは手中の盃を尽くせ。

【注釈】

五言律詩。魯郡=地名 石門=山の名前 金樽=酒 泗水=川の名前 徂徠=山の名前

味わうポイント

・李白は杜甫と別れる際、あえて明るく振る舞っているようですが、あなたは、友人と離れ離れになる際、明るく振る舞うことができますか?

5の作品とは作者と贈る相手が逆なんですね💡
なんだか…「酒!」っていう印象の詩です笑

あの李白が作った詩ですからね笑。李白は無類の酒好きとして有名ですが、別れの詩を送っている杜甫も大酒飲みとして有名です。

李白も杜甫もお酒大好きだったんですね💡

そうですね。作品にここまで酒が出てきているのは、もちろん2人が酒好きだったという理由もありますが、「別れの際には酒を飲み交わす」という中国の伝統的な習慣が関係しています💡

お別れの時にはお酒を飲むんですね。これって、現代日本の大人も送別会でお酒飲んでるから、これと一緒では?

その通りです✨「別れと酒」というのは、古代中国でも現代日本でも変わりません。

また、個人的に「魯郡の東 石門にて杜二甫を送る」を味わうポイントは、「別れの詩なのに、どこか明るい雰囲気が漂っている」という点です。

確かに、別れを惜しんでいる感じはするけど、豪快さもあって、何となく明るい雰囲気を感じます✨

李白はどちらかというと明るい性格なので、その性格が表れていると思います。

7、遠くに赴任する友人を心配する詩 王維「元二の安西に使するを送る」

友情と別れの詩 その7

王維(おうい)・送元二使安西(元二が安西に向かうのを見送る)

【現代語訳】

(別れの地となる)渭城(いじょう)の朝の雨は、軽やかに巻き上がる(道の)土ぼこりをしっとりと濡らし、

旅館のあたりは、柳の色が青々として鮮やかである。

(別れる)君よ もう一杯の杯を乾かしてくれ。

(西の果てである)陽関を出れば、もう友人はいないのだから。

【原文・書き下し】

渭城朝雨浥軽塵(渭城(いじょう)の朝雨 軽塵を浥(うるお)す)

客舎青青柳色新(客舎 青青 柳色新たなり)

勧君更尽一杯酒(君に勧む 更に尽くせ一杯の酒)

西出陽関無故人(西のかた陽関を出づれば 故人無からん)

【注釈】

七言律詩。元二=人名 安西=安西都護府。元二が赴任する場所 渭城=長安の西北にある町 客舍=旅館 柳=別れをほのめかす語句。中国では昔から柳の枝を折り、旅立つ人に送る習慣があった。 陽関=敦煌の西南にあった関所 故人=友人

味わうポイント

・王維は新天地に旅立つ友人のことをとても案じていますが、あなたは友人を見送る際、友人のことを心配しますか?

朝なのに酒飲んでる笑。やっぱり「別れと酒」というのは、密接な関係があったんですね。

良い所に気付きましたね!

「元二の安西に使するを送る」については、実はあと1つ別れをゆかりの深い言葉が用いられています。どれか分かりますか?

2句目の「柳」ですか?注釈に「別れをほのめかす語句」とあるので笑

よく気付きました。その通りです。中国では昔から柳の木の枝を折りってわっかを作り、旅立つ親しい人に送る習慣がありました。

なんで柳の木の枝を折ってわっかを作るものを送るんですか?

諸説ありますが、「柳」は「留」は「りゅう」のように同音であることから、「引き留める」ことを意味し、「わっか=環を作る」は「無事に還(かえ)る」を意味しています。どちらも旅立つ人に向けた気持ちを表すものですね💡

なんかダジャレみたいで面白いですね。でも、別れに対する切実さも読み取ることができます✨素敵な習慣ですね。

この作品を味わうポイントとしては、「「新天地には友人がいない」という表現で友人を心配する点」だと思います。

確かに、3句目と4句目では、友人への心配を表しているように見えます。

ちなみにマオさんは、大切な友人と離れ離れになる時、友人のことを心配しますか?

私だったら、心配より寂しい気持ちを出して泣いちゃうかもしれません💦

大切な友人との別れに際し、新天地での相手のことを心配するのは、中々できることではないと思います。作者の優しさが垣間見えますね💡

確かに…普通は自分の寂しい気持ちでいっぱいいっぱいになると思います。

まぁ正しい別れの作法は存在しないので、思い思いの送り方をすればよいと思いますが、この作品のスタンスは、割と珍しいのかなと感じます✨

8、友人と楽しい時間を共有できないことを惜しむ 劉商「王永を送る」

友情と別れの詩 その8

劉商・送王永(王永を見送る)

【現代語訳】

君が立ち去ってしまえば、春の山へはいったい誰と遊びに行ったらよいのだろうか。

鳥は鳴き花は散り、(川の)水は見る人もなく虚しく流れいくことであろう。

今、小川沿いで君の旅立ちを見送る。

いつの日にか、(私の事を)思ってくれるのなら、(この思い出の)川のほとりに来て欲しい。

【原文・書き下し】

君去春山誰共遊(君去らば春山誰と共にか遊ばん)

鳥啼花落水空流(鳥啼(な)き花落ちて水空しく流れん)

如今送別臨溪水(如今 別れを送りて溪水に臨む)

他日相思来水頭(他日相い思わば水頭に来たれ)

【注釈】

七言律詩。王永=人名 如今=今 水頭=2人がいる小川のほとりを指す 

味わうポイント

・劉商と王永は川のほとりで自然を共に楽しんで友情を育み、思い出の場所だったようですが、あなたと友人の思い出の場所はどこでしょう?

・あなたは、友人とかつての思い出の場所に行ったことがありますか?

なんか、自然の描写が多くて、キレイな印象を持ちます。2人は一緒に自然を楽しんでたのに、離れ離れになって楽しめなくなるんですね…

誰かと一緒にしてこそ楽しいことってありますよね。たとえば、我々も1人で出かけるより、仲の良い人と一緒に出かけて遊んだ方が楽しくないですか?

確かに、仲の良い友だちと一緒のほうが楽しいです!

この作者も同じ気持ちなのでしょう。この作品のポイントは、「これから誰と遊べば良いのか」という表現で名残惜しさを表している」という点だと思います。

これはよく分かるなぁ…

また、最終句の「他日相い思わば水頭に来たれ」も面白いです。「思い出の地に来て自分のことを思い出して欲しい」という切り口から、友人への思いを述べています💡

なんだか女の子っぽいですね笑

確かに女性らしい気がしますね。そこもこの作品の魅力なのかもしれません✨

9、達観した言葉を友人へ贈る 于武陵「酒を勧む」

友情と別れの詩 その9

于武陵・勧酒(酒を勧む)

【現代語訳】

君にこがね色の盃をすすめる

なみなみとついだこの酒をどうか断らず(に飲んで欲しい)

花が開いても雨風が多く(吹いてしまい、花びらが飛んでしまう)

(これと同じように)人生には別れがつきものだ

【原文・書き下し】

歓酒勧君金屈巵(君に勧む 金屈巵)

満酌不須辞(満酌辞するを須(もち)いず)

花発多風雨(花発(ひら)けども風雨多し)

人生別離足(人生別離足(おお)し)

【注釈】

五言絶句。金屈巵=こがね色の盃

味わうポイント

・あなたは、これまでの人生でどれほど別れを経験してきましたか?

・あなたは、「人生には別れがつきものだ」という気持ちになったことはありますか?

また酒が出てきてる…笑。それは置いとくにしても、最終句の「人生別離足(おお)し」がすごく共感できます✨

そうですね💡言われてみれば当たり前だと思いますが、人生に別れは付きものですよね。

小中高大と環境が変わっていくたびに別れがありますし、転校や転勤があっても別れがありますよね。

「「人生には別れが付きもの」という表現で別れに対してあえて寂しさを出さない」点は、本作品の魅力だと思います✨

また、3句目の「花発(ひら)けども風雨多し」にも注目して欲しいです。これは恐らく「花発く」=「友情が芽生えて育つ」、「雨風が多く(吹いてしまい、花びらが飛んでしまう)」=「様々な事情によって2人が離れ離れになってしまう」のように、それぞれたとえています。

なるほど…素敵なたとえですね。3句目も良いと思えてきました✨

以上、本日は別れを題材とした作品を4つ紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

どの詩も、作者の個性や表現力がよく出ていて、素敵な作品でした✨ありがとうございました!

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