1、「若」の意味と見分け方
【「若」の意味一覧】
①~のようである。/読み方→ごとシ
→物事をなにかに例える際に用いる。
②~と同等である。/読み方→しク
→多くは「不若」の形で「~には及ばない」という意味となり、物事の優劣を表す。
③もし~ならば/読み方→もシ
→後文では「(もシ)~セバ則チ」or「(もシ)~セバ」のようになる。
④お前orあなた/読み方→なんじ
①②③④どれも重要な意味なので、必ず知っておきましょう!
見分け方については、まず「若」の前に「不」があるかどうか確認しましょう。あれば②の意味です。
次に「若」の後文に「則」が来るor「~セバ」という送り仮名がある場合は③の意味です。
(ただし、下の⑤の場合も「則」がセットになることがある。)
①④については、「①=返り点(特にレ点)がほぼ付く」「④=返り点がほぼ付かない」という特徴があります。
詳しくは、以下の例文を見ながら確認してみましょう!
なお、漢文の「若」に「若い」という意味はありません!注意しましょう!
【慣用表現】
⑤若是・若此・若斯・若之(かクノごとシ)
→このようであるorこの通りである。
⑥何若(いかん)
→どのような状態かorどのような程度かorどう思うか(意見や是非を問う)
⑦若何(いかんセン)
→どうすればよいだろうか。
2、「若」の例文
①君子之交、淡若水。
君子の交わりは、淡きこと水のごとし。
→立派な人物の人間付き合いは、水のように淡泊(だがいつまでも続くものである)。(『荘子』)
②徐公不若君之美也。
徐公は君の美なるにしかざるなり。
→徐公はあなたの美しさには及ばない。(『戦国策』)
②知子莫若父。
子を知るは父に若くは莫し。
→子どもを知っているという点で、父親に及ぶ存在はいない。(『管子』)
③若人有嬰之者、則必殺人。
若し人 之に嬰(ふ)るる者有らば、則ち必ず人を殺す。
→もし人間がこれ(=龍の逆鱗)に触れたならば、必ず(龍はその)人間を殺す。
④若亡何也。
若(なんじ)亡(に)ぐるは何ぞや。
→お前が逃げるのはどうしてか。(『史記』)
⑤上下相報若此、和之至也。
上下相報ずること此の若くなるは、和の至りなり。
→上下が互いに報告し合うことがこのようであるのは、調和の至りである。(『司馬法』)
⑥仲尼賢何若。
仲尼の賢なること何若。
→仲尼(=孔子)はどれくらい賢明なのか。(『説苑』)
⑦欲取天下若何。
天下を取らんと欲せば若何せん。
→天下を取ろうと欲するのであれば、どのようにすれば良いだろうか。(『呂氏春秋』)
①君子之交、淡若水。
君子の交わりは、淡きこと水のごとし。
②知子莫若父。
子を知るは父に若くは莫し。
あたりは、特に共感しやすい名言だと思います。
③若人有嬰之者、則必殺人。
若し人 之に嬰(ふ)るる者有らば、則ち必ず人を殺す。
はいわゆる「逆鱗」の一節です。