漢文の「也(なり・や・置き字)」の読み方を解説! | ハナシマ先生の教えて!漢文。

漢文の「也(なり・や・置き字)」の読み方を解説!

【主要な意味一覧】
①~である。(断定の意味)/読み方→「なり」(ひらがな表記)
②疑問・反語・詠嘆の意味/読み方→「や」(ひらがな表記)

+α「何也(何ぞや)」の形もあり。
③主格の強調/読み方→「や」(ひらがな表記)
④語気を強める役割(置き字で読まない)。

ひとまず①と②は必ず抑えましょう!(特に②は問題となる可能性が高いです。)
③④はそこそこでてきますが、読めなくてもそこまで痛くはないので、余裕があれば学んでおきましょう!

【「也」の識別方法】

識別方法としては、以下の通りになります。
・文(特に最初のほう)に「何」「安」「焉」「誰」といった疑問詞が登場している→②
・文中に存在している→③
・「也」の直前の送り仮名が言い切りの形になっている→④
上記以外の場合→①

【例文・用法】


①苛政猛於虎。(苛政は虎よりも猛なり。)/『論語』
→過酷な政治は虎より凶暴である

②此誰。(此は誰。)/『戦国策』
→これは誰であるだろうか。(疑問)

②安能令君不死。(安くんぞ能く君をして不死せしめん。)/『列子』
→どうして君主を不死にさせることができるだろうか。いやできない。(反語)

②何楚人之多。(何ぞ楚人の多き。)/『史記』
→なんと楚人の多いことよ。(詠嘆)

②今背水而勝何也。(今 水を背にして勝ちしは何ぞ。)/『十八史略』
→今、川を背後に置いて勝ったのはどうしてでしょうか
※兵法では川を背にするのはタブー。

③回聞一以知十。(回一を聞いて十を知る。)/『論語』
→(顔)回一つのことを聞いて十のことを知るのである。

④後生可畏。(後生畏るべし。)/『論語』
→若いひちには敬意を払うべきである。(命令の語気を強める)
※この文章は普通に「畏るべきなり。」のようにも読むことができる。

④民苟利矣、遷。(民苟くも利あらば、遷らん。)/『春秋左氏伝』
→民衆にとって利益となるならば、(都を)移そう。(意志の語気を強める。)

「也」には様々な用法がありますが、意味の核心は強調です。そこを見失わないようにしましょう!

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