1、漢文における「者」の意味と慣用表現について
意味
①人orものorこと
②~とは(前の文字が主語であることを表す役割。置き字。)
+α 慣用表現
今者→いま/昔者→むかし/古者→むかし
(これらの「者」は②の意味であり置き字。)
不者(しからズンバ)→もしそうでなかったら
何者(なんトナレバ)→なぜなら
漢文における「者」で気を付けるべきは、「者」=「人」だけでなく「ものごと」も指すケースがあることと、②のように、置き字的な用法があることです!
2、「者」の意味の識別方法と例文
①と②の識別方法としては、「者」の前に読む漢字の送り仮名が「ト」「ハ」「トハ」となっている場合は②となります。(それ以外は①の意味でOK!)例文を見て確認してみましょう!
①士為知己者死、女為説己者容。
/士は己を知る者の為に死し、女は己を説(よろこ)ぶ者の為に容(かたちずく)る。(『史記』刺客列伝)
→立派な男は、自分の価値を分かってくれる人のために命を尽くし、女は自分を好きでいてくれる人のために化粧をする。
①有為者、辟若掘井。
/為すこと有らんとする者は、辟(たと)えば井を掘るがごとし。(『孟子』)
→何かを成し遂げようとすることは、たとえば井戸を掘るようなものだ。
②所謂誠其意者、毋自欺也。
/所謂その意を誠にするとは、自ら欺く毋(な)きなり。(『大学』)
→いわゆる「自分の気持ちに誠実であること」とは、自分で自分を欺かないということである。
②夫学者、所以求益爾。(『顔子家訓』)
/夫れ学は、益を求むる所以のみ。
→そもそも学問は、利益を求める手段に過ぎない。
ちなみに、例文は4つとも名言にしましたがいかがでしょうか?
せっかくなので、名言を味わいながら「者」の用法を学んでいただければ嬉しいです。
お疲れ様でした!