このページでは、日中の漢字文化について楽しく学べる問題を、クイズ形式で紹介します。
子どもから大人まで楽しめると思います✨
漢字や中国文化に興味がある方、是非チャレンジしてみて下さい!
もくじ
Q1:甲骨文字(こうこつもじ)にまつわる問題
甲骨文字(こうこつもじ)とは、我々が使っている漢字の祖先で、3000年以上前から使われていました。動物の骨や亀の甲羅に刻まれた形で発見されています。
Q1は、甲骨文字にまつわる問題です。
【問題】
Q1:現時点で最も古いとされている甲骨文字について、
それぞれどの漢字を表すのか、予想して下さい。全て動物を表します。
(1つ正解につき1ポイント獲得)
【正解】
Q1
A→鹿
B→魚
C→羊
ちなみに「牛」は
【解説】
甲骨文字の特徴の1つに、「絵のような形をしている」というものがあります。
動物にまつわる文字は、とてもその特徴が出ていますね。
C=「羊」と上の「牛」について、とても似ていますが、「羊=つのが内向き」「牛=つのが外向き」という特徴で見分けることができます。
昔の中国の人は、動物と距離が近く、よく観察していたのだと思います💡
Q2:篆書体(てんしょたい)と現代日本の漢字文化にまつわるクイズ
篆書体(てんしょたい)とは、漢字の書体の1つで、甲骨文字の次に古い文字だとされています。
書体の特徴としては、「左右対称」「線が丸みを帯びている」というものが挙げられます💡
この書体は、大篆(だいてん)と小篆(しょうてん)に分けられ、大篆は主に周の時代の青銅器の中に確認できます。小篆は、大篆を簡略化or書きやすくしたもので、戦国時代の秦(しん)で生まれたとされています。
国立故宮博物館サイトより引用。
【問題】
Q2:次のうち、現代日本において篆書小篆小篆)で記されていないものはどれでしょう?(1ポイント)
A:お札の「総裁之印」「発券局長」
B:パスポートの「日本国旅券」
C:切手の「日本郵便」
D:新聞紙のタイトルロゴ
(「読売新聞」「朝日新聞」など)
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
正解:D
【解説】
・新聞紙のロゴは隷書体(れいしょたい)が多い。
隷書体=全体的に平べったく、横長な字体。現代の字体に近い。
→「総裁之印」(1000円札 おもて)
→「発券局長」(1000円札 うら)
→「日本国旅券」(パスポート)
→「日本郵便」(切手)
Q3:竹簡(ちっかん)と現代の漢字文化にまつわるクイズ
古代中国において、紙が発明されるのは戦国時代の半ばで、それから徐々に改良されていきますが、それまでは竹簡(ちっかん)に文字を書いていました。
Q2は、竹簡にまつわる問題です💡
【問題】
Q3:竹簡の形状がもとでできた漢字を2つ挙げて下さい。
(1つ正解で1ポイント、2つ正解で3ポイント)
ヒント→どちらも本にまつわる漢字!
「 」と「 」
【正解】
Q2
「冊」と「典」
→「冊」はそのまま竹簡を広げた時の形から。
→「典」は竹簡を手で広げて読んでいる様子から。
「第」「簡」「籍」「簿」といった竹かんむりの漢字も、原義は全て竹簡が由来です。
我々は意外と竹簡の影響を受けていることが分かりますね💡
ちなみに、恐らく日本には竹簡自体は輸入されませんでしたが、木簡(もっかん)は奈良時代あたりに輸入されていました💡平城京の跡から実際に出土しています。
Q4:漢字の字体にまつわるクイズ(新字体と旧字体)
漢字には、いわゆる新字体と旧字体というものが存在しています。(例:「沢」と「澤」、「国」と「國」)
名字で見たことある人がいると思います💡
【問題】
Q4:
旧字体の「權」「廣」「禮」はそれぞれどのような新字体でしょうか?
(1つ正解につき1ポイント獲得)
「權」=
「廣」=
「禮」=
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
「權」=権
「廣」=広
「禮」=礼
【補足・豆知識】
この旧字体は、台湾では現役で用いられています。
私は大変へ留学したことがありますが、「台湾」を「臺灣」と表記するなど、画数が多いので書くのが大変でした笑
なお、現代では中国>日本>台湾の順番で漢字を略す傾向にあります。
(例)权(中)・権(日)・權(台)
丰(中)・豊(日)・豐(台)
Q5:漢字の部首(ぶしゅ)にまつわるクイズ
漢字の構成は、「部首」と「それ以外」に分かれ、部首が意味を、それ以外の部分が音を表すことが多いです。
(例)
・語→言(部首。言葉に関する意味)+吾(それ以外=「ご」という音)
・販→貝(部首。価値のあるものに関する意味)+反(それ以外=「はん」という音)
・病→疒(部首。やまいだれ。病気に関する意味)+丙(それ以外=「へい」という音)
【問題】
以下の漢字グループ①②に共通して付く部首をそれぞれ答えて下さい。
なお、完成する漢字は全て常用字(=文部科学省が定める日常生活で使う漢字)です。
(1つ正解につき1ポイント獲得)
①→己・取・召
②→直・朱・旬
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
Q5
①→走(起・趣・超) はしる
②→歹(殖・殊・殉) がつ
①は比較的答えやすい問題でしたが、②は結構難しかったですね💡
正解できた方はすごい!!!
Q6:漢字とひらがなにまつわるクイズ
漢字はアルフェベットとは違い、組み合わせだけでなく、文字自体が意味を持っています。(表意文字)
漢字の一部を、アルファベットのように音だけの役割にしたのが「ひらがな」「カタカナ」です。(表音文字)
Q6は、この「ひらがな」にまつわるクイズです。
【問題】
ひらがなは、漢字を崩したものを再度整えることで作られました。
以下の漢字の中で、ひらがなとして採用されていないものを1つ選んで下さい。(1ポイント)
ヒント:とても雑に書いてそれっぽく見えるかどうか
A:乃(の)
B:計(け)
C:砂(さ)
D:止(と)
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
正解:C
ちなみに「さ」は「左」が元になって成立した。
漢字は中国の文化で、それを輸入した後にひらがな・カタカナを作ったので、日本語がいかに中国の影響を受けながら成立してきたのかが分かりますね💡
Q7:漢字と賞状にまつわるクイズ
みなさんは、賞状や(卒業)証書をもらったことがありますか?実は現代で配られている賞状や証書にも、中国の漢字文化の影響が見られます。Q7は、漢字と賞状にまつわるクイズです。
【問題】
Q7:下の画像は昔の中国の書籍です。実はこの書籍のとある特徴が、
現代日本の賞状の特徴と一致しています。どのような特徴でしょう?
(自由解答:3点)
ヒント:通常はあるものが、中国の書籍と賞状にはない。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
〇句読点を打たない
(昔は句読点を打つ=学がないと馬鹿にされることがあったため)
〇行頭が空いていない。/行替えしない
(昔は行頭を空けるor行替えする=学がないと馬鹿にされることがあったため)
△印鑑が押してある
(画像の印鑑は蔵書印なので、賞状の印鑑とはやや意味合いが異なる)
【解説・補足】
みなさんが読んだことのある漢文は、「、」「。」や改行があると思いますが、本来は上の画像のように「、」「。」改行全て存在しません。専門の研究者はこういったものを読みますが、これがとても難しく苦戦します笑💦
また、賞状の上部によく印刷されている「雲龍」「鳳凰」の絵柄も、中国皇帝による人事発令や褒章に用いていたことに由来します💡
Q8:漢字と元号にまつわるクイズ
日本では、年を元号と西暦で表記しますが、元号の多くは漢文が由来となります。
Q8は、漢字(漢文)と元号にまつわるクイズです。
【問題】
Q8:現代の元号「令和」について、「令」の意味として正しいものはどれでしょう?
(1ポイント)
A:「良い」という意味。
B:「従う」という意味。
C:「掟(おきて)」という意味。
D:「調っている」という意味。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
A
【解説・補足】
出典は以下の通り。
初春令月、気淑風和(初春の令(よ)き月にして、気淑く風和ぎ)/『万葉集』
Or仲春令月、時和気清(仲春の令(よ)き月にして、時和して気清く)/「帰田の賦」
「ご令嬢」の「令」=「令和」の「令」
令和に移る際、「史上初の日本古典(『万葉集』)が出典!」と話題になりましたが、そもそも出典となった『万葉集』の一節は、明らかに中国古典(漢文)が根拠となっているので、厳密に言えば「令和」も中国古典が由来と言えなくもないです。
ちなみに、慶応・明治・大正・昭和・平成は全て中国古典(漢文)を出典としています💡
Q9:漢文と大学名にまつわるクイズ
【問題】
Q9:以下に挙げる日本の大学の中で、名前が中国古典に由来しているものを以下から1つ選んで下さい。
(1ポイント)
A:同志社大学
B:上智大学
C:早稲田大学
D:立命館大学
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
D
【解説・補足】
同志社大学→新島襄と同志が協力して団体(社)を作ったことに由来。
上智大学→ギリシャ語「ソフィア」の漢訳が「上智」。
早稲田大学→地名由来。昔、早稲田村という村が存在していた。
立命館大学→「立命」は『孟子』が出典。
ちなみに、積水化学・資生堂などの企業名も漢文由来です💡
Q10:漢字と現代の二字熟語にまつわるクイズ
実は、現代中国で用いられている二字熟語の多くが、江戸末期~明治大正の日本で作られたもの=和製漢語(わせいかんご)です💡つまり、現代中国は、日本の漢字文化を「逆輸入」していることになります。
Q10は、この「和製漢語」にまつわるクイズです。
【問題】
Q10:
次の二字熟語のうち、和製漢語ではないものを2つ選んで下さい。
(1問正解につき1ポイント獲得)
回収・緊張・説明・消費
圧巻・基準・推敲・哲学
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
圧巻・推敲
【解説・補足】
→「圧巻」「推敲」とも故事成語で、中国のエピソードから生まれた。
「圧巻」→科挙において最も優れた「巻(=答案用紙)」を、他の答案の1番上に置いて「圧」したことから。
「推敲」→唐代の詩人である賈島(かとう)が、詩を書く際、「推す」か「敲(たた)く」で迷い、吟味した上で「敲く」に決めたことから。
中国の故事成語については、以下のページにまとめているので、興味がある方はご覧になってみて下さい!
Q11:中国のことわざにまつわるクイズ
日本には様々なことわざがありますが、中国にも沢山のことわざがあります。
Q11は、中国のことわざにまつわるクイズです💡
【問題】
Q12:中国のことわざ「女人心、海底针」について、最も正しい解釈を選んで下さい。
(2ポイント)
A:女性の心は、本来攻撃的だが普段はそれを隠していることのたとえ。
B:女性の気持ちは、とても複雑で察することが難しいたとえ。
C:女性は、とても忍耐力があって懐が深いことのたとえ。
D:女性の本心は、とても神秘的で美しいことのたとえ。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【正解】
B
【解説・補足】
「海底針」は、表記通り「海底に落ちている針」で、見つけ出すのがほぼ不可能な存在であり、
「理解することができない女心」のたとえとして用いられています。
→日本語の「女心と秋の空」(女心と秋の空はコロコロ変わって読みづらい)と似た意味。
ちなみにこのことわざは、私がこれまで出会ってきた中国のことわざの中で、最も納得できたものです…笑
まとめ 漢字文化の奥深さを楽しみながら学べましたか?
クイズお疲れ様でした!何問正解することができましたか?
あるいは、クイズを通して、漢字文化の奥深さを味わうことができたでしょうか?
日本は中国から様々な漢字文化の影響を受けているのはもちろん、日本の漢字文化が中国へ影響を与えているケースがあったり、同じ漢字文化で異なる部分があります💡
今回の問題を機に、漢字漢文へ興味を持ってくれる方が1人でも増えれば、大変嬉しいです。
お疲れ様でした!