漢文の教え方のコツを伝授! 楽しく漢文を学ぶために必要な2つのこと | ハナシマ先生の教えて!漢文。

漢文の教え方のコツを伝授! 楽しく漢文を学ぶために必要な2つのこと

こんにちは。中学・高校・塾などで漢文を教える方の中で、「漢文ってどう教えたら良いか分からない!」と悩んでおられる方はいませんか?
このページでは、そんな方に漢文を教えるコツを2つ紹介します!

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1、題材を現代or自分に当てはめて繋がりを強調する!

人間は、物事について「自分と関係無い」と思った瞬間、興味がなくなり、つまらなくなります。漢文の場合は、そもそも漢字が羅列されていて分かりづらいですし、現代語訳を読んでも何が面白いのか分からないことが多いです。
→例えば、李白の「黄鶴楼送孟浩然之広陵(黄鶴楼(こうかくろう)にて孟浩然(もうこうねん)の広陵(こうりょう)に之(ゆ)くを送る)」を例に考えてみましょう。

【現代語訳】
親しい友人(である孟浩然)は、西に位置する黄鶴楼で(私に)別れを告げ、春の美しい霞がたなびく3月、楊州へ(舟で)下っている。
孤独に浮かぶ帆の影は遠く、碧色の空に吸い込まれ、(私は)ただ長江が天の果てまで流れている(のを見送っている。)

【原文・書き下し】

故人西辞黄鶴楼 故人 西のかた黄鶴楼を辞し
烟花三月下揚州 烟花三月 揚州に下る
孤帆遠影碧空尽 孤帆の遠影 碧空に尽き
唯見長江天際流 唯だ見る長江の天際に流るるを

 あなたは、この現代語訳を読んで面白いと思いますか?もし面白いと思えないなら、生徒に漢文の良さや意義を伝えるのは難しいでしょう。自分が分からない事を生徒が分かる可能性は低いです

 では、この漢詩はどのように読めば面白くなるのでしょう?それは、「現代or自分との繋がりを認識すること」です。

 具体的には、この漢詩は「とても大切な友人or推しと別れる時の気持ちを表すもの」です。
→作者=李白は孟浩然(=友人)の地位や名誉に囚われない生き方が大好きで尊敬していましたが、あなたは友人のどのような所が好きですか?
→自分が大切な友人と別れる場面を想像してみましょう。どのような感じになりそうですか?
→李白と孟浩然の関係は、「ファンと推し(=憧れるアイドルなど)」と捉えることも可能です。あなたには推しがいますか?

 以上の質問を生徒に投げかけ、少しでも反応があればこちらのものです。反応があるということは、生徒が「この漢詩は自分と関係がある。繋がっている。」と認識したことを示します。これが興味に繋がり、生徒の深い学びにも繋がっていきます。

 また、登場人物に関する豆知識を添えるのもよいでしょう。例えば、「李白は気さくで良い奴だが、上下関係が苦手(無礼で仕事をクビになったことがある)や、「孟浩然はツンデレor二重人格な所がある(地位を欲しいと詠ったり、地位が要らないと詠ったりしている)」です。

【まとめ】
 あなたが取り上げる題材は、現代日本や自分たちとどのような関係がありますか?類似している所はありますか?ご自身なりに見つけた上で、質問という形で生徒と共有すると、楽しく学べる授業ができてくると思います。

 漢文と現代社会との関係については、このブログでも紹介していますので、よかったご覧になってヒントにしてみて下さい!

2、生徒同士で題材について意見交換する機会を作る!

 2番目のコツは、1番目と連動しています。いくら先生が興味を引きつける質問をしたとしても、それを発信・受信する機会が無ければ効果が薄いです。従って、生徒が質問について他者に伝え、また他者の答えを聴く機会を作る必要があります。

 具体的な方策の1つとしては、3~4人でグループワークを行うことが挙げられます。あらかじめ題材に関する質問を用意し、グループで発表し合います。グループごとに書記を任命し、回答を1つのプリントにまとめてもよいでしょう。その場合、後で回収して軽く総評するのもありです。

 また、毎回比較的短文のレポートor感想を書いてもらうのも方策の1つです。さらに、そのレポートにコメントや確認スタンプを押して返却できると、生徒の学びが深まります。

3、いわゆる勉強的な部分はどうすべき? 単語も文法も現代と繋げて説明すべし!

 以上、生徒が漢文を楽しみながら読める方策をお伝えしましたが、これとは別に文法や単語的な解説をする必要も出てくると思います。ここでは、その場合のコツについて紹介します。

 結論から言えば、文法・単語の解説も現代・自分に引きつけて行えば、無理なく伝えられます。例えば、「黄鶴楼~」に登場する「故人(こじん)」は、「死者」ではなく「古い友人or親友」という意味で、注意が必要ですが、どのように伝ればよいでしょうか?

 「故人」の「故」は、「故郷」の「故」と同じ意味であり、「元から知っている」というニュアンスがあります。つまり、「故人(こじん)」は「元から知っている人」=親友となる訳です。このように、現代で用いている熟語と絡めて説明ができれば、生徒は難なく理解できると思いますし、言葉という視点でも現代との繋がりを感じることができます。

 文法も同様です。例えば漢文の反語を学ぶ時、「反語とは表面上は疑問だが、実質的に強い主張や批判をする表現」と説明した上で、「夏休み最終日に、母親から「どうしてもっと早く宿題しなかったの?!」と言われた場合、これは反語表現である。」のように、現代日本人も使っていることを強調します。これも、漢文を理解しやすくなるだけでなく、日本語の勉強にもなり、一石二鳥です。

以上、漢文の教え方に関するコツについて、私の経験に基づいて紹介させていただきました。少しでも、世の中の先生や教員志望の方の訳に立てれば嬉しいです。読んでいただきありがとうございました!

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