漢文の「すなわち(則・即・乃)」の意味について解説 例文付き | ハナシマ先生の教えて!漢文。

漢文の「すなわち(則・即・乃)」の意味について解説 例文付き

こんにちは。このページでは、漢文によく出てくる「則・即・乃(すなわ)ち」の意味について、例文を交えて解説します!

1、「則・即・乃(すなわ)ち」の意味 一覧

1、「則(すなわ)ち」の意味 一覧
①~であれば(条件を表す。上文の送り仮名が「レバ」となることが多い)
②~については(前に主語が存在して、「~ハ」という送り仮名になる)
③そして(順接。前に主語が存在する)
※現代語の「彼は私の母の兄の子、すなわち従兄弟だ。」のように「つまり」の意味は存在しない

+α④則(のっと)る/⑤法則

2、「即(すなわ)ち」の意味 一覧
①すぐに(「即興(即ち興す)」の「即」と同じ)
②つまり
※①も②も「ピッタリくっついている」という共通の意味が存在する。①は時間的に、②は物事の意味的にピッタリである。
③~であれば(=①「則」)

3、「乃(すなわ)ち」の意味 一覧
①そして(順接)
②しかし(逆接)
③意外にも
④ようやく

「則(すなわ)ち」と「即(すなわ)ち」は、どちらもひとまず①の意味が頻出なので、これだけ抑えておけば、8割方大丈夫です。
「乃(すなわ)ち」については、②③④から分かるように「一筋縄ではいかなかない」という共通のニュアンスが存在し、文脈に合わせて選ぶ必要があります。難しいですが、うまく意味が取れると読解に非常に有利となりますので、頑張って抑えておきましょう。

2、「則・即・乃(すなわ)ち」の例文

「則(すなわ)ち」の例文
①月満虧、物盛衰。/月満つれば則ち虧け、物盛んなれば則ち衰う。
→月が満ちれば欠け、物事は盛んになれば衰える。(『史記』)
②其伝十章、曽子之意。/其の伝十章、則ち曽子の意なり。
→その伝の十章については、曽子の考え(を述べたもの)である。(『大学』)
③項王夜起飲帳中。/項王則ち夜に起きて帳中に飲む。
→項王はそして夜に起きてとばりの中で(酒を)飲んだ。(『史記』)

「即(すなわ)ち」の例文
①権遣粛行。/権即ち粛を遣して行かしむ。
→(孫)権はすぐに(魯)粛を派遣して向かわせた。(『資治通鑑』)
②梁父楚将項燕。/梁の父即ち楚将の項燕なり。
→(項)梁の父はつまり楚の将軍であった項燕である。(『史記』)
③先制人。/先んずれば即ち人を制す。
→(人より)先に動けば、人(=ライバル)を支配する(ことができる)。(『史記』)

「乃(すなわ)ち」の例文
①龐涓自知智窮兵敗、自刎。/龐涓自ら智窮兵敗を知り、乃ち自ら刎る。
→龐涓は自分から戦略が尽き軍が敗れたのをしり、そして自ら首をはねた。(『史記』)
②大禹聖人、惜寸陰。/大禹は聖人なれども、乃ち寸陰を惜しむ。
→大禹は聖人(=素晴らしい人物)ではあったがしかし、わずかな時間を惜しんで(努力されていた)。(『晋書』)
※「衆人当惜分陰。(衆人当に分陰を惜しむべし。)=普通の人はわずかな時間でも惜しんで(努力すべきである)」と続く。
③至拝大将、韓信也。/大将を拝すに至りて、乃ち韓信なり。
→大将を任命する時になると、(任命されたのは)意外にも韓信であった。(『史記』)
④学之知。/之を学びて乃ち知る。
→学習してはじめて理解する。(『論衡』)

「則」の①、「即」の③、「乃」の②あたりは、名言としても有名なので、今後生きる上で知っておいてもよいでしょう。お疲れ様でした!

2 COMMENTS

武田正実

自分の若い頃、漢文には興味がなく、余り勉強しませんでしたが、60を大分過ぎた今、何となく漢文が懐かしくなり、このページを見ています。若い頃理解のできなかったものでも、今見ると、分かるのは不思議ですね?というか、漢文はある程度年を取らないと、理解できないものかもしれませんね。今はどちらかというと、漢文よりも中国語の方が流行っているようです。

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hanashima

コメントありがとうございます!漢文は語学的には日本語と近いですし、おっしゃる通り、ある程度人生経験を積まないと分かりづらい気がします。それが漢文の魅力かもしれません。

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