ポイント
- 「寡(すくな)し」=「少(すく)なし」「鮮(すくな)し」。
- 「寡(すくな)し」の例文として、「人はその長(ちょう)ずる所に死しせざるは寡(すくな)し。(人者、寡不死其所長。)」(『墨子』)という言葉が挙げられる。
- 「寡(すくな)し」を含む熟語として「寡黙」「寡人」が挙げられる。
1、「寡(すくな)し」の意味と「少なし」「鮮し」
こんにちは。本日は、「寡(すくな)し」について学んでいきましょう。
先生こんにちは!「寡」って「寡人」の「寡」ですよね?もうばっちりなので大丈夫ですよ!✨
そうですね。「寡人」についてじっくり取り上げたことがあるので、今更感がありますが、一応 「寡(すくな)し」としても学んでいきましょう!
「寡(すくな)し」=「少(すく)なし」で大丈夫ですが、「鮮(すくな)し」という用法があることも抑えておきましょう。
「海鮮」の「鮮」で「すくない」って読むんですね。不思議💦
「鮮」については、「魚を切り分ける」という核のイメージで捉えると良いです。
・「魚はすぐに傷んでしまうため、新鮮なものを取り扱う」=①「鮮(あたら)しい」(新鮮の「鮮」)
・「切り分ける」→「分けられた分、はっきりしている」=②「鮮やか」(鮮明の「鮮」)
・「切り分けられたものは少ない」=③「鮮し」
というイメージです。
なんか連想ゲームみたいで楽しいですね。少しは分かりやすくなりました笑
2、「寡(すくな)し」の例文・名言
「寡(すくな)し」に関連して、ナナさんは、「人はその長(ちょう)ずる所に死しせざるは寡(すくな)し。(人者、寡不死其所長。)」(『墨子』)という言葉を知っていますか?
知りません💦どんな意味ですか?
意味としては、「人間は、(自身の)長所がわざわいして、(かえって)死んでしまうことが多い。」という意味です。「死しせざるは寡(すくな)し」は、直訳すると「死なないことは少ない」となりますが、これだと分かりづらいため、「死ぬことが多い」と訳しています。
「人間は、(自身の)長所がわざわいして、(かえって)死んでしまうことが多い。」?これでもよく分からないので、もう少し分かりやすく教えて下さい!
ざっくり言うと、「長所があると他者に重用され過ぎてしまうから、かえって命を削るほど働いてしまう」ってことです。本来なら、長所というのは、自分を助ける大切な要素です。しかし、世の中では長所が自分の首を絞めてしまうこともあるということです💡
例えば、「とても優しい人」がいたとしましょう。その人は、周りの人たちによく頼られます。
優しい人が周りの人たちに頼られるって、良いことでは?
残念ながらそうとは限りません。世の中には、他者の親切心に依存して楽に生きていこうとする人間が多く存在します。そのような人の依存先は、上で挙げた「とても優しい人」です。例えば、自分でできる作業をその優しい人に任せたり、自分のお金は持っているのに、優しい人にお金を出してもらったり…
それだと、優しい人がいつか潰れちゃいますよ💦あっ…
そうです。「人はその長(ちょう)ずる所に死しせざるは寡(すくな)し。」の意味がよくお分かりになったと思います。
つまり、長所が良い面ばかりではなく、長所が悲劇を引き起こしてしまうこともあるということです。「寡(すくな)し」と一緒に、この言葉の意味も知っておくと良いでしょう。今後生きていく上で、役に立つときがくるかもしれません。
3、「寡黙」「寡人」と「寡(すくな)し」
最後に、「寡(すくな)し」を含む熟語を抑えましょう!これについては、既に学んでいるので大丈夫だとは思いますが。
「寡黙」「寡人」ですよね?この前の授業で勉強しました!
さすがナナさんですね。「寡黙」は「(言葉が)寡(すく)なく黙っている」という意味で、「寡人」は「(徳が) 寡(すく)ない人」という意味でしたね。どちらも無理やり二字熟語にしている点もよければ抑えておきましょう!
今日もありがとうございました!「寡(すくな)し」を含め、漢文の読みを単に覚えるだけより、こうやって関連する言葉や熟語を知って定着されていくのがクセになってきました笑
漢文の読み1つを取っても、面白い内容は沢山あります。確かに、分量は多くなりますが、このように勉強すれば定着しやすいですし、漢文だけではなく、国語全体の成績も上がりますし、生き方について学ぶこともできます✨