こんにちは。ここでは、我々が生きる上で心に留めておきたい四字熟語や、自身の表現力を高めるために有用な四字熟語を紹介しています。
テーマごとに分けているので、興味のあるテーマからご覧になってみて下さい✨
四字熟語には生きる上でタメになるものが多く、また語彙力を増やすためにも使えます。
また、漢文読解という点からは、①四字熟語の書き下しと②何が何をたとえているのかを意識すれば、格段に実力が上がります。
もくじ
1、努力・勉学・成功・含蓄に関する四字熟語
磨穿鉄硯(ませんてっけん)→鉄の硯(すずり)を磨きて穿(うが)つ
物事を達成するため、強い意志で努力を積み重ねること。
五代十国時代の桑維翰(そういかん)が、硯をすり減らして穴があくほど勉学に励み、科挙(=現代の国家公務員試験のようなもの)に合格したことから生まれた語。
「磨穿鉄硯(鉄の硯を磨いて穴を空ける)」は必死に努力することのたとえ。
(例文)磨穿鉄硯の思いで勉強を続けた結果、第一志望の難関大学に合格することができた。
愚公移山(ぐこういざん)→愚公(ぐこう) 山を移す
一見達成が不可能に見えるようなことも、コツコツ積み重ねれば達成できること。
昔、愚公という人が山を移そうとした所、周りの人間はそのようなことは無理だと笑ったが、愚公は子や孫の世代までかかっても成し遂げると告げた。天帝は愚公の態度に感心し、山を別の場所に移してやったという話から生まれた語。
(例文)イチローは子どもの頃から、毎日のように野球の練習に励み、日本・アメリカのプロ野球で偉大な記録を成し遂げた。これはまさに「愚公移山」を体現したと言うことができる。
蛍雪之功(けいせつのこう)→蛍雪の功
苦労して勉学に励むこと。
晋の車胤は灯りをつける油が買えず、夜に蛍の光を集めて勉学に励み、孫康は冬の夜に窓から入る雪明かりで勉学に励み、共に出世したことから生まれた語。
昼耕夜誦(ちゅうこうやしょう)→昼は耕し夜は誦す
貧しい生活をしながらも勉学に励むこと。
当時の貴族階級は、田を耕す必要がなく、勉学に励むことができた一方、家が貧しい人間は、働きながら勉学に励む必要があったことから。
「誦」は声に出して本を読むこと。昔の基本的な勉学スタイルの一つ。
孟母三遷(もうぼさんせん)→孟母 三たび遷(うつ)す
子どもを育てる際には、適切な環境が必要であることを表す。
昔、孟子(もうし)の母親の行動から生まれた語。孟親子は、はじめ墓場の近くに住んでいた所、子どもの孟子は葬儀のものまねをして遊んでいた。母親はこれはいけないと思い、市場の近くに引っ越した。すると孟子は商人のものまねをして遊んだ。母親はこれはいけないと思い、学校のそばに引っ越した。すると孟子は礼儀作法のものまねをはじめた。そこで母親は安心した。
(例文)孟母三遷というように、やはり子どもは優秀な私立の中学校に通わせるべきか。
不撓不屈(ふとうふくつ)→撓(くじ)けず屈さず
強い意志でどのような困難や苦労にもくじけないさま。
(例文)不撓不屈の精神で臨めば、大概のことは成し遂げることは可能である。
独立不撓(どくりつふとう)→独り立ちて撓(くじ)けず
他者に頼らず一人でくじけずに努力するさま。
汎濫停蓄(はんらんていちく)→汎く濫(あふ)れて停(とどま)り蓄う
深くて広い学識があること。
「氾濫」は水が溢れるように知識が溢れていることから、「停蓄」は水が豊かに蓄えられているように知識を蓄えていることから生まれた語。
抜山蓋世(ばつざんがいせい)→山を抜き世を蓋(おお)う
威勢が極めて盛んであるさま。
昔、項羽(こうう)が辞世の句である「垓下の歌」で自身のことを「自分の勢いはかつて、山を引き抜き、世の中を覆い尽くすほど盛んであった」と述べた所から。
(例文)俳優の松下洸平さんは、2020年に朝ドラでブレイクした後、ドラマ「最愛」やバラエティ番組「ゴチになります!」のレギュラー出演など、まさに「抜山蓋世」の勢いで活躍している。
佩韋佩弦(はいいはいけん)→韋(なめし)を佩び弦(げん)を佩ぶ
自分の短所を改善するために戒めのアイテムを持つこと。
西門豹(せいもんひょう)が自分の短気な性格を直そうとして「ゆったりしたなめし革=韋」を常に持ち、董安干(とうあんかん)は自分のゆるすぎる性格を直そうとして「固い弓のつる=弦」を身につけていたというエピソードから生まれた語。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)→薪に臥(ふ)す 胆を嘗(な)む
リベンジを果たすために苦労に耐えること。
かつて、呉(ご)の夫差(ふさ)が父の仇を忘れないために堅い薪をベットとして寝て結果的に仇を屈服させ、越(えつ)の句践(こうせん)が夫差に敗れた悔しさを忘れないように吊した苦い肝を舐めて、リベンジを果たしたエピソードから生まれた語。
(例文)高校受験に失敗したA君は、臥薪嘗胆の思いでその失敗を忘れず、大学受験で成功することができた。
捲土重来(けんどちょうらい)→土を捲(ま)きて重ねて来たる
一度敗れたり失敗したりした人が再び盛り返すこと。
「捲土=土を捲(ま)き」は、土煙を起こすことで、勢いがある様を指す。
(例文)プロスポーツ選手のAさんは、昨年度成績が悪かったので、今年は捲土重来を期す必要がある。
刻石流水(こくせきりゅうすい)→石に刻みて水を流す
自分が恩を施したことは水に流すように忘れ、自分が恩を受けたことに対しては、石に刻むように忘れないようにすること。
「懸情流水、受恩刻石(情を懸けしは水に流し、恩を受けしは石に刻む)」の省略形。
(例文)自分の親切をいつまでも誇示するのはみっともないよ。「刻石流水」の精神のほうが人間関係うまくいくと思うよ。
狡兎三窟(こうとさんくつ)→狡(ずるがしこ)い兎に三つの窟(ほらあな)あり
困難や災難に対する備えができており、巧みに回避できること。
ずる賢い兎は、いざというときのため、逃げ場所の洞穴をいくつも用意しているという話から生まれた語。兎=人間、窟=困難や災難への備えのたとえ。
(例文)サラリーマンのAさんは、いざというときのために副業を行っていて、会社が倒産した後も収入を失わずに済んだ。これぞまざに「狡兎三窟」の備えである。
良禽択木(りょうきんたくぼく)→良き禽(とり)は木を択ぶ
良い人材は良い雇い主or職場を選んで働くこと。優秀な人材をスカウトする際の殺し文句として用いることがある。
禽=良い人材、木=職場のたとえ。
(例文)「良禽択木」という言葉があるように、優秀なあなたにはより良い労働環境があると思います。
千慮一失(せんりょいっしつ)→千の慮に一つの失(あやまり)あり
どんなに賢い者でも、間違いが千に一つはあること。
2、自由・自然体・静寂に関する四字熟語
明鏡止水(めいきょうしすい)→明らかなる鏡 止まる水
余計な考えが無く、澄み切って落ち着いた様子。
「明鏡」は澄み渡っている鏡、「止水」は水の動きがなく静かである様子で、どちらも人の様子の比喩となっている。
(例文)テストに臨むにあたり大切なことは、失敗することを恐れたり、どのような問題が出るかあれこれ考えたりすることではなく、明鏡止水の心境でいることである。
虚心坦懐(きょしんたんかい)→虚(うつ)ろな心 坦(たい)らかな懐(ふところ)
心に邪念など余計なものがなく、平静であるさま。
(例文)人の話を聞くときは、好き嫌いや偏見を持つこと無く、虚心坦懐な気持ちで臨むべきである。
無為自然(むいしぜん)→為すこと無くして自ずから然り
余計な事をせず、ありのままの状態であることが良いこと。
(例文)政府の○○という政策は、効果が無かったどころか財政まで悪化してしまった。無為自然の態度で小さな政府という選択肢も視野に入れるべきである。
万物斉同(ばんぶつせいどう)→万物斉(みな)同じ
善悪・美醜・優劣など、人間が持っている相対的価値観はあてにならないので、そのようなものを全て捨て、比較することなく絶対的に捉えるべきという考え方。
泰然自若(たいぜんじじゃく)→泰然として自若なり
落ち着いていて自然体であるさま。
「泰」は「落ち着いている」、「自」は「自然体である」、「然」「若」は状態を表す言葉に添える助字。具体的な意味はない。
廓然大公(かくぜんたいこう)→廓然として大いに公なり
心が広く、公平であるさま。
「廓」は「広々とした様子」を指す。
行雲流水(こううんりゅうすい)→行く雲 流れる水
物事に深く囚われず、流れる雲や水のように、自然に任せて生きること。
閑雲野鶴(かんうんやかく)→閑(のどか)な雲 野の鶴
世俗に囚われず、自由気ままに生きること。
のどかでゆったり浮かぶ雲や、野で気ままに生きている鶴の様子から生まれた語。
不羈奔放(ふきほんぽう)→羈(つな)がず奔放なり
何ものにも束縛されず、思い通り振る舞うこと。
「羈」は束縛すること。
(例文)A君は不羈奔放な性格であり、会社勤めに合わず、すぐに辞めてしまった。
和光同塵(わこうどうじん)→光を和らげ塵を同じくす
自分の能力を隠して塵のように目立たずに過ごすこと。
「和光」は「輝く才能を和らげる」、つまり能力を隠すことを表す。
曳尾塗中(えいびとちゅう)→塗中に尾を曳(ひ)く
高い地位を得て窮屈な思いをするより、低い地位でも自由気ままに暮らすほうがよいという生き方。
昔、在野にいた荘子が王様に宰相の地位でスカウトされた時、「私は殺されて占いの道具として祭られる亀と、泥の中で尻尾を引いてゆったりする亀なら、後者を選ぶ」と述べてスカウトを断ったエピソードから生まれた語。
塗は泥の意味。
(例文)何をしてもメディアに批判されている総理大臣を見ると、「曳尾塗中」の意味が良く分かる。
融通無碍(ゆうずうむげ)→融(とお)り通りて碍(さまたげ)無し
言動に何の障害もなく、伸び伸びとしていること。
(例文)放任主義の両親のもとで育ったA君は、融通無碍な考えとなった。
3、悟り・達観・仏教に関する四字熟語
多言数窮(たげんすうきゅう)→多く言うは数(しばしば)窮す
口数が多いと言葉に重みが無くなり、説得力が無くなってしまうこと。
(例文)両親が子どもを教育する時には、多言数窮に気を付け、要所要所で助言すべきである。
因果応報(いんがおうほう)→(原)因と(結)果 応報す
仏教用語。人間の善行・悪行に応じて報いが与えられること。特に悪行の報いとして用いられることが多い。
(例文)人の悪口ばかり言うAさんは、孤立してしまった。因果応報だ。
諸行無常(しょぎょうむじょう)→諸(もろもろ)の行に常無し
仏教用語。あらゆるものには常に変化し、止まることがないこと。「行」は万物を指す。
(例文)去年活躍していた芸能人が、今年はすっかりテレビで見なくなった。諸行無常を感じられる。
夢幻泡影(むげんほうよう)→夢・幻・泡・影
仏教用語。人生や世の中は、夢・幻・泡・影のように実体がなく、はかないこと。
天網恢々(てんもうかいかい)天の網恢々なり
お天道様は悪事を決して見逃さないこと。
「恢々」とは広いさまを指す。お天道様の広々とした網が世界を覆っている様子から。
(例文)「天網恢々」というし、悪いことをするものではないよ。
小国寡民(しょうこくかみん)→小国 寡(すくな)き民
理想の国のあり方。国土が少なく国民が少ないさまを理想とする。
富貴在天(ふうきざいてん)→富貴は天に在り
人間が金持ちになったり身分が高くなったりするのは、お天道様が決めることであり、本人の力にはどうにもできないということ。
禍福倚伏(かふくいふく)→禍福倚(よ)り伏す
幸せが不幸の原因となり、不幸には幸せが潜んでいるように、幸せと不幸は順番に訪れるということ。「倚」は「原因となる」「伏」は「潜む」の意味。
(例文)Aくんには彼女ができて幸せだったが、禍福倚伏で不幸が訪れるのではないかと不安になった。
戒驕戒躁(かいきょうかいそう)→驕りを戒め躁(さわ)ぐを戒む
驕らず騒がずに冷静になって生きること。
(例文)私はすぎに調子に乗ってしまうので、普段から戒驕戒躁を心に留めている。
輪廻転生(りんねてんせい)→輪(めぐ)り廻(めぐ)りて転生す
仏教用語。人が死んでは生まれ変わり、巡り廻っていくこと。
煩悩菩提(ぼんのうぼだい)
仏教用語。悟りの障害になるような煩悩が、逆に悟りのきっかけになること。
「菩提」は元々サンスクリット語の「बोधि(ボーディ)」の音写であり、「悟りの境地に至る」という意味。
(例文)ブッダは王族の生まれで豪華な食事や建物など、煩悩に囲まれて生きたが、これが煩悩菩提となった。
六根清浄(ろっんしょうじょう)
仏教用語。感覚器官からくる欲や迷いを断ち切り、心身を清らかにすること。
「六根」とは、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」「意識」という六つの感覚を指す。仏教では、この六つの感覚が欲を生み、人間を堕落させてしまうため、浄化すべきだと考えられていた。
泥中之蓮(でいちゅうのはす)→泥中の蓮
仏教用語。煩悩にまみれ汚れている環境の中でも、高潔さを保つことのたとえ。
(例文)クラスの大半が授業を受けない中、Aさんだけは真面目に授業を受けている。Aさんは泥中之蓮である。
檀波羅蜜(だんはらみつ)
仏教用語。悟りに至るため、他者に財産やアドバイスを与えること。
「檀」は「施す」こと、「波羅蜜」は元々サンスクリット語の「pāramitā(パーラミター)」で「悟りの境地に達する」こと。
大智如愚(だいちじょぐ)→大智は愚かなるがごとし
とても賢い人は、不用意に賢さを表に出さないため、一見すると愚かに見えること。
(例文)大智如愚というように、知識を不用意にひけらかす人は、本当の賢さとは言えない。
愛別離苦(あいべつりく)
仏教用語。親愛な関係の人間と離れる苦しさを表した語。
現世の辛さを端的に表す語として用いられる。
不立文字(ふりゅうもんじ)→文字を立てず
仏教用語。本当に大切なことは、文字では表現できないということ。
元々は、「悟りの内容は文字では表現できない」という意味。
4、批判・揶揄・戒めに関する四字熟語
傍若無人(ぼうじゃくぶじん)→傍(かたわ)らに人無きがごとし
人目を気にせず、勝手に振る舞うさま。
(例文)彼らは電車の中で大声で話している。周りの人は、傍若無人な態度に腹が立っていた。
曲学阿世(きょくがくあせい)→学を曲げ世に阿(おもね)る
学問の本質から目をそらして、世の中に好まれる説を唱えること。
(本文)あの先生は、生徒のご機嫌取りばかりを行っていて、勉強の大切さを伝えられていない曲学阿世の徒である。
俛首帖耳(ふしゅちょうじ)→首(こうべ)を俛(ふ)せて耳を帖(た)る
他人の態度を伺ってばかりの卑しい態度のこと。
犬が頭を伏せて耳を垂れさせながら主人に従う様子から生まれた語。
(例文)Aさんは上司に俛首帖耳した結果、実力もないのに出世することができた。
漱石枕流(そうせきちんりゅう)→石に漱(くちすす)ぎ流れを枕にす
自分の誤りを認めず、屁理屈を述べて言い逃れをすること。
昔、晋の孫楚が「石に枕し流れに漱(くちすす)ぐ」=「石を枕にして川の流れで口をすすぐ(世俗に縛られずに生きていくという意味)」と言うべき所を「石に漱(くちすす)ぎ流れを枕にす」と述べてしまい、友人にその誤りを指摘された。しかし孫楚はこの誤りを認めず、「石に嗽ぐ」とは「石で歯を磨くこと」であり「流れを枕にす」とは「耳を洗うことだ」と無理やりこじつけて説明したことから生まれた語。
牽強付会(けんきょうふかい)→牽(ひも)を強(ひ)きて付して会(あつ)む
道理に合わないことを無理やりこじつけて正当性を主張すること。
(例文)暴力を振るったAさんは、「暴力は愛の鞭であり、悪気は無かった」と述べたが、これは牽強付会な考え方である。本当に愛があるなら、暴力を振るわないのが道理である。
我田引水(がでんいんすい)→我が田に水を引く
他者の都合を考えず、自分に都合のよい解釈をすること。
(例文)セールスマンは、自社の商品に有利な情報のみを顧客に伝えるといった我田引水を行うことがあるので、注意が必要である。
郢書燕説(えいしょえんせつ)→郢の書 燕説く
大して意味がないことを、無理やり意味があるものだとこじつけて解釈すること。
昔、楚(そ)の都の郢(えい)の人が、燕(えん)という国の大臣に手紙を出す際、灯火を持つ者に「挙燭(燭台を挙げよ)」と言ったものを、書記官が手紙に書いてしまった。手紙を受け取った大臣は、「挙燭」の「燭」を「賢人(=世の中を照らすということからの連想)」から、「賢人をよく挙用せよ」という意味で解釈し、結果的に燕がよく治まったという話から。
(例文)父親は息子に対し、単に「勉強しろ」と伝えた所、息子は「このままだとダメだから勉強しろと言ってくれているんだ」と考え、勉強に励んだ結果、クラスで1番の成績となった。
朝令暮改(ちょうれいぼかい)→朝に令して暮に改む
命令が頻繁に変更されて一定しないという意味。「朝に命令してその夕方にすぐ改める」という所から。
(例文)新しいコーチの指示は、朝令暮改の嵐であり、どの指示を聞けばよいのか全く分からない。
夜郎自大(やろうじだい)→夜郎自ら大なり
自分の実力を知らずに調子に乗っているさま。
昔、漢という強大な国があることを知らなかった小さな国の夜郎の王様は、漢の使者が来た時、「我が国と漢ではどちらが大きいのか」と尋ねた。「夜郎自大」はこの話から生まれた語。
用管窺天(ようかんきてん)→管を用いて天を窺(うかが)う
視野が狭いことのたとえ。「管」は「細い管」を指す。
(例文)若いうちは、自分の考えが絶対正しいと思うなど、用管窺天になりがちである。
談天雕竜(だんてんちょうりゅう)→天を談じ竜を彫る
論じる内容が広大ではあるが、実際には役に立たないこと。
(元々は、「論じ方が深遠で巧みであること」という称賛の言葉である。)
「天」とはいわゆる「お天道様」のことであり、当時の中国で重要な位置を占めていた。「竜を彫る」とは「文章を巧みに彫る」ことのたとえ。
(例文)この哲学書の内容は、小難しい言葉を使って理想の生き方について述べているが、机上の空論であり、まさしく談天雕竜な内容である。
刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん)→舟に刻みて剣を求む
時代の変化にうまく適応できないさま。
昔、楚の人が舟で川を渡ったとき、川の中に剣を落としてしまった。そこで後で剣を探すために舟に印を付けた。舟が向こう岸に到着したあと、その印の下を探したが、剣は見つからなかったという話から生まれた語。舟での移動=時代の変化、舟の印=自分の考えをそれぞれ比喩している。
類義語に「守株待兎(しゅしゅたいと)」がある。
多岐亡羊(たきぼうよう)→多くの岐にして羊を亡(うしな)う
①「人間は選択肢が多くなるからこそ、迷い困ってしまうことがある」②「人間は細かい部分を気にしすぎて、本来の目的を見失ってしまうことがある」という意味。
逃げたした羊を追っていた時、分かれ道が多すぎて羊を見つけ出せなかったエピソードが由来。
(例文)大きなショッピングモールに来たAさんは、店が多すぎて多岐亡羊に陥ってしまった。①
(例文)学校の勉強で板書をきれいに写すことにこだわるが、結局テストで点数は取れないのは、まさしく多岐亡羊であり、本質を見失っている。②
海底撈月(かいていろうげつ)→海底に月を撈(すく)う
実現不可能なことをして労力を費やすこと。
「海面に見える月を海底から掬(すく)おうとしても、月を掬うことはできないこと」から。
(例文)Aくんは子どものころ、かめはめ波を打ちたかったため真剣に練習をしたが、海底撈月であった。
道聴塗説(どうちょうとせつ)→道に聴きて塗(みち)に説く
他人の話を鵜呑みにして、あたかも自分の説のように他者に伝えること。いい加減な受け売りのさま。
「道ばたで聞きかじったことをすぐその道ばたで話す」が原義。
「塗」は「途(みち)」に同じ。
(例文)Aさんは、道聴塗説の輩(やから)であり、ネットの情報を漁っては家族に自慢顔で自分の知識のように伝えている。
爛額焦頭(らんがくしょうとう)→額(ひたい)を爛(ただ)らし頭焦(こ)ぐ
根本よりも末端を重視する浅ましい見方のたとえ。
消火のため頭髪を焦がして額にやけどをした者に賞を与えた一方、普段から防火方法を教えてくれていた人には感謝せず、その方法を実践していなかったことが批判された。「爛額焦頭」はこのエピソードから生まれた。
(例文)Aくんは提出物の提出直前に移してくれたBくんには感謝するが、早めに準備しておくように言ってくれている両親には全く感謝しない。これは爛額焦頭の行いである。
封豕長蛇(ほうしちょうだ)→封(おお)きな豕(いのしし) 長き蛇
貪欲で残酷なさま。イノシシが何でも食べるように貪欲で、蛇が獲物を丸呑みにして残酷なことから。
朝三暮四(ちょうさんぼし)→朝に三つ 暮れに四つ
目先の違いに囚われて、結局は同じ結果であることが分からないこと。
昔、猿使いがいて、猿に「朝に三つ、夕方に四つのエサをやろう」というと猿は怒り、「朝に四つ、夕方に三つのエサをやろう」と提案すると、猿は喜んだというエピソードから生まれた語。
(例文)3万円の服を買うのに躊躇していたが、3000円の10回払いにもできると店員に言われ、安く感じて買ってしまった。結局支払う値段は変わっていないから、朝三暮四と言わざるを得ない。
良弓難張(りょうきゅうなんちょう)→良弓は張り難し
優れた人材は、扱いが難しいこと。「良弓」は「優れた人材」、「張る」は「扱う」のたとえ。
(例文)Aさんは仕事はできるが、いつも上司に意見しているので、上司は扱いづらそうだった。しかし上司は、「良弓難張」という言葉を思い出し、Aさんの良い部分が伸びるようにうまくマネジメントした。
5、性格・能力の称賛に関する四字熟語
十全十美(じゅうぜんじゅうび)
欠点が全く無く完璧なこと。「十全」は「少しの欠点もないこと」、「十美」は「完璧なこと」を指す。
(例文)美容院に行って新しい服も買い、行く所の下調べも終え、十全十美の準備で意中の相手とのデートに臨んだ。
質実剛健(しつじつごうけん)→質実にして 剛く健(すこや)かなり
性格や精神など中身と肉体が、共に無駄な飾り気が無く充実していて、強くてたくましいこと。
「質実」の「質」は「素朴」、「実」は「誠実」の意味。
磊磊落落(らいらいらくらく)
心が広く明るく、細かいことにこだわらないさま。豪快磊落(ごうかいらくらく)とも。
(例文)彼は磊磊落落な性格で、多くの人に好かれている。
温厚篤実(おんこうとくじつ)→温厚にして篤実
人柄が温厚で情に厚く、誠実であること。
(例文)Aさんは温厚篤実な人柄であり、周りのみんなから慕われている。
文質彬彬(ぶんしつひんぴん)
見た目や肩書きと中身が釣り合って整っていること。
文=外見や振る舞い、質=中身や本質、彬彬は釣り合っているさま。
(例文)Aさんは、大学教授として立派に務めると共に、人格的にも素晴らしく、まさしく文質彬彬と呼ぶにふさわしい。
通暁暢達(つうぎょうちょうたつ)→通じて暁るく暢(の)びて達す
物事に深く通じていて、発する文章や言葉が伸び伸びしていること。
(例文)Aさんは漫画が大好きで詳しく、漫画の話になると通暁暢達に話す。
博覧強記(はくらんきょうき)→博(ひろ)く覧(み)て強く記(おぼ)ゆ
沢山の書物を読み、得た知識をしっかり覚えていて、豊かな学識を持っていること。
(例文)Aさんは幼い頃から様々な本を読んで博覧強記である。
老当益壮(そうとうえきそう)→老いては当(まさ)に益(ますます)壮(さかん)なるべし
年を取ってもますます盛んであること。
(例文)三国志の黄忠(こうちゅう)という武将は、老当益壮であり、60歳を過ぎても前線で活躍した。
沈博絶麗(ちんぱくぜつれい)→沈(ふか)く博(ひろ)く絶(はなはだ)麗(うるわ)し
主に文章が奥深くかつ広く、美しいこと。
天花乱墜(てんからんつい)→天花乱れ墜(お)つ
話し方がいきいきしているさま。
雲光法師が説法をしたところ、天が感動して花が降ってきたというエピソードから生まれた語。
「天花」は「天に咲いている花」を指す。
嚢中之錐(のうちゅうのきり)→嚢中の錐
才能がある人は、大勢の中に混じっていても、自然と才能を発揮して目立つということ。
「嚢中」は「ふくろの中」、「錐」は才能がある人のたとえ。類義語に「麻中之蓬(まちゅうのよもぎ)」が存在する。
(例文)嚢中之錐といえばAさんである。Aさんは入学当初は目立つ存在ではなかったものの、持ち前のリーダーシップから、クラス委員や生徒会に推薦され、活躍するようになった。
万緑一紅(ばんりょくいっこう)→万緑に一紅あり
沢山の中に優れたものがあって目立っているさま。
王安石の詩の「万緑叢中紅一点」が元だが、現在では「紅一点(=沢山の男の中に女が混じっている)」として用いることが多い。
八面玲瓏(はちめんれいろう)→八面 玲瓏なり
①どの方面から見ても美しいこと
②心に疑念がなく澄んでいていること
③誰とてもうまく人間関係を築けること
「八面」は「あらゆる方面」、「玲瓏」は「美しく照り輝くさま」。
出藍之誉(しゅつらんのほまれ)→出藍の誉れ
弟子が師匠を超えること。
「青は之を藍より取りて藍よりも青し(青色は、藍という草から色を取っているが、加工することにより藍より青くなる)」が出典で、元々は特に子弟の意味はない。青=勉強した結果、藍より取る=努力を重ねるのたとえであり、努力することの大切さを説いている。
桃李成蹊(とうりせいへい)
人徳のある人のもとには、その人を慕って自然と人が集まること。
元々は、「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す(桃やすももは、何を言わなくても、そのおいしさから自然に人の道ができる)」。桃李=人徳のある人のたとえ。
6、対立・怒り・融和・兄弟・友情に関する四字熟語
四面楚歌(しめんそか)→四面 楚の歌
周りを敵に囲まれ、孤立無援になっているさま。
昔、漢軍が項羽軍を包囲し、項羽軍の地元である楚の歌を兵士に歌わせた。すると項羽軍は、既に地元を占拠され、沢山の自軍兵士が投降したと認識し、残りの兵士も逃亡してしまったというエピソードから。
(例文)Aさんは、家庭ではみなに嫌われ、職場でも居場所がなく、四面楚歌な状態である。
悪事千里(あくじせんり)
悪事は瞬く間に世間に知られてしまうこと。
「好事門を出でず、悪事千里を行く(良い行いは拡散されないが、悪事はとても広がっていく)」の省略形。人間は本質的にゴシップが好きということも表している。
(例文)あの芸能人の不倫は、週刊誌に報道された後、大半の国民が知った。これぞまさに「悪事千里」である。
面従腹背(めんじゅうふくはい)→面は従い腹は背(そむ)く
表面的には上の者に従うが、心の中では刃向かっていること。
(例文)上司の対応に納得できなかったが、ひとまず面従腹背の態度を取ってやりすごした。
綿裏包針(めんりほうしん)→綿の裏(うち)に針を包む
表面では柔和な態度を取るが、内心では悪意をもっていること。
「綿」=「表現が柔和である」、「裏」=「内心」、「針を包む」=「内心に悪意を持つ」のたとえ。
(例文)「綿裏包針」という言葉があるように、優しい態度をしている人を信用し過ぎないほうがよい。
怒髪衝天(どはつしょうてん)→怒る髪 天を衝(つ)く
激しく怒っているさま。怒りで髪が天を衝くほど逆立っている様子から生まれた。
(例文)彼女は彼氏に浮気され、怒髪衝天した。
道傍苦李(どうぼうくり)→道傍(みちばた)の苦い李(すもも)
誰からも見向きされなくなること。
道ばたに転がっている苦いスモモは誰も拾わないことから。「苦李」は「皆から敬遠されるような存在」のたとえ。
(例文)何度注意しても改めないAさんは、やがて会社内で道傍苦李の扱いとなった。
不倶戴天(ふぐたいてん)→倶(とも)に天を戴かず
恨みや憎しみを持つ関係のこと。
「共に天の下にはいられない」という所から生まれた。
(例文)AさんにとってBさんは不倶戴天の敵である。
呉越同舟(ごえつどうしゅう)→呉・越 舟を同じくす
①仲が悪い者同士でも、お互い協力せざるを得ない状況であれば協力をすること。
②仲の悪い者同士や敵味方同士が同じ場所にいること。
呉と越は昔から戦争をしばしば行い、仲が悪かった。あるとき、呉国の人と越国の人が同じ舟に乗り、大風が起こり転覆しそうになったが、仲が悪いことを忘れ、協力して転覆を免れたというエピソードから生まれた。
(例文)仲が悪いことで有名なAさんとBさんが同じ場所で会議に参加していて、呉越同舟の状態である。②
桃傷李仆(とうしょうりふ)→桃傷つき李(すもも)仆(たお)る
兄弟同士で争い傷付けること。
桃は兄、スモモは弟のたとえ。元々は「兄弟同士は争い傷付けるべきではない」という意味。
切磋琢磨(せっさたくま)
友人同士が互いに励まし合い競い合うさま。
「切」は獣の骨や角を切って加工すること。「磋」は玉や石を磨いて加工すること。「琢」は玉や石を削って形を整えること。「磨」は石を磨くこと。どれも人格や学識を磨くことのたとえ。
(例文)AさんとBさんは切磋琢磨して受験勉強し、無事二人とも志望校に合格した。
竜吟虎嘯(りゅうぎんこしょう)→竜吟じ虎嘯(うそぶ)く
同じ性質を持つ者が、考えや気持ちを共鳴させて通じ合うこと。
中国では伝統的に竜が鳴けば雲が湧き起こり、虎が鳴けば風が生まれるとされ、竜と虎は同格視されることがあったことから。
(例文)AさんとBさんの関係は竜吟虎嘯であり、
管鮑之交(かんぽうのまじわり)→管鮑の交わり
お互いに深く理解し合い、利害を超えて信頼している友人関係のこと。
昔、管仲と鮑叔牙が深く強い絆を結んだことから。
(例文)AさんとBさんは、貧乏な頃から管鮑之交を結び、お互い成功した今でも強い絆で結ばれている。
渭樹江雲(いじゅこううん)→渭の樹 江の雲
遠くにいる友人を想うこと。
出典は杜甫が遠くにいる李白のことを想って作った「春日 李白を憶う」。「渭」は「渭北」、「江」は「江東」で、共に地域名。
→遠く離れた友人を褒めちぎる 杜甫「春日 李白を憶う」
(例文)去年の春までは一緒にいたのに離れ離れになったAさんとBさんは、今でもお互いに連絡を取っていて、渭樹江雲の関係である。
莫逆之友(ばくぎゃくのとも)→逆うこと莫きの友
互いに争うことのなく、気持ちが通じ合っている関係。親友。
(例文)AさんとBさんは莫逆之友と呼べる関係である。
7、戦争と平和に関する四字熟語
星火燎原(せいかりょうげん)→星の火 原を燎(や)く
はじめは小さな力でも、処理せずに放っておくと対処できなくなること。特に反乱や一揆に対して用いられる。
「星火」は「星の光のような微かな火だね」で、「星の光のような微かな火だねでも、放っておけば原っぱを焼き尽くすほど燃え広がることがある」という所から生まれた。
(例文)星火燎原という言葉があるように、恋人の不満はこまめに聴いてコミュニケーションを取るべきである。さもなくば、いつか爆発して取り返しがつかなくなってしまう。
替天行道(たいてんこうどう)→天に替わり道を行う
天に替わって正しい世の中のあり方を追求すること。
『水滸伝』において、梁山泊が掲げたスローガン。『水滸伝』では、政治は腐敗し、多くの反乱や戦争が起こっていたことから。
中原逐鹿(ちゅうげんちくろく)→中原に鹿を逐(お)う
群雄が割拠し、皇帝の位を争っているさま。
「中原」は中国の中心であった黄河中下流の地域。「鹿を逐う」は「皇帝の位を追い求める」のたとえ。
(例文)中原逐鹿であった日本の戦国時代では、最終的に徳川家康が勝利して終わった。
白虹貫日(はっこうかんじつ)→白き虹 日を貫く
戦乱が起こり、革命が起こる兆しのこと。
古代中国では「日=太陽」は、君主の象徴であり、それが虹で貫かれることは、君主or国家に危険が及ぶ予兆とされたことから生まれた。
(例文)A社では、以前から白虹貫日の雰囲気が漂っていたが、結局部下が造反し、社長は退任に追い込まれた。
浮雲翳日(ふうんえいじつ)→浮雲 日を翳(おお)う
悪人が君主をないがしろにして政権を握り、世の中が暗くなっていくさま。
「浮雲」が「悪人」、「日」は「君主」、「翳う」は「君主の地位を悪人が脅かすさま」のたとえ。
竜攘虎搏(りゅうじょうこはく)→竜攘(うちはら)い、虎搏(なぐ)る
互角の力を持った者同士がぶつかること。
「竜」「虎」はどちらも「強者」のたとえ。
(例文)今年のプロ野球は、二強状態で、A球団とB球団による竜攘虎搏の戦いとなっている。
死屍累々(ししるいるい)
死体が多く重なり合ってむごたらしいさま。転じて、失敗する人が多く出てしまっているさま。
「死屍」は「死体」、「累々」は「重なり合うさま」。
(例文)美人のAさんに告白して振られた男は多く、死屍累々たるありさまである。
鳥尽弓蔵(ちょうじんきゅうぞう)→鳥尽き弓蔵(おさ)めらる
目的が達成された後には、それまで重用されていた者が捨てられてしまうこと。
「鳥」は「目的」、「弓」は「それまで重用されていた者」のたとえ。獲物の鳥がいなくなったら、獲物を捕る道具は不必要になってしまう所から生まれた。
二桃三士(にとうさんし)→二桃 三士(を殺す)
優れた知略で他者を自滅させ、問題を解決すること。「二桃殺三士」の省略形。
昔、晏嬰(あんえい)が傲慢な態度が問題な3人を排除しようとして作戦を練った。そして、君主から3人に向かって「ここに桃が2つある。この3人の中で功績が大きい者2人が食べて良い。」と言ってもらった。AとBは、それぞれ自身の功績を誇って桃を取ったが、CがA・Bより大きな功績を誇り、桃を2つとも自分のものにしようとした。AとBは、Cより少ない功績を自慢したことを恥じて自殺し、CはA・Bを自殺に追い込んだことを恥じ、自殺した。「二桃三士」はこのエピソードから生まれた語。
兼愛交利(けんあいこうり)兼ねて愛し交(こもご)も利す
全ての人を愛し、互いに利益を与え合うこと。古代中国の思想家である墨子の理念。
百姓昭明(ひゃくせいしょうめい)→百姓 昭明なり
民衆や官僚の役割がはっきりとしていて、世の中がうまく治まっているさま。「百姓昭明にし、万邦を協和す(百姓の役割をはっきりとさせ、全ての地域を協同和合させた)」の前半部。
元号「昭和」の出典の一部。
内平外成(ないへいがいせい)→内平らかにして外成る
国内が安定して治まり、対外地域との関係も良好であるさま。
元号「平成」の出典。
鼓腹撃壌(こふくげきじょう)→腹を鼓し壌(つち)を撃つ
平和で楽しげな世の中の様子。
「腹を鼓す」は、はらつづみを打つこと。食う者に困っていないさま。「壌(つち)を撃つ」は地面を叩いて拍子を取ること。楽しんでいるさま。
8、恋愛・夫婦・女性に関する四字熟語
投瓜得瓊(とうかとくけい)→瓜(うり)を投げ瓊(けい)を得る
男女がお互いの愛情の印としてプレゼントを贈ること。
昔、中国では女が男に瓜を投げて求愛し、男が応じる際には、瓊(=宝石)を贈っていたことから。
偕老同穴(かいろうどうけつ)→偕(とも)に老おいて穴を同じくす
夫婦が仲睦まじく添い遂げること。
「同穴」とは、同じ墓に入ること。
(例文)昔は結婚といったら偕老同穴の誓いであったが、現在では離婚が多く、そのような風潮は無くなってきている。
琴瑟相和(きんしつそうわ)→琴・瑟相(あい)和す
夫婦の仲が良いこと。
「琴」「瑟」は共に楽器で、よく合奏し調和のとれた音を出す所から、夫婦の仲をたとえるようになった。
関関雎鳩(かんかんしょきゅう)→関関とする雎鳩
夫婦の仲が良いこと。
「関関」は鳥たちが仲睦まじく鳴く様子。「雎鳩」は「みさご」という水鳥の名前。
鴛鴦之契(えんおうのちぎり)→鴛鴦の契り
夫婦の絆が非常に固いこと。
鴛と鴦はおしどりの雄と雌を指し、常に一緒にいて育児などを行う所から、夫婦の絆の強さをたとえるようになった。
大和撫子(やまとなでしこ)
しとやかで凛とした女性のさま。
「撫子」は植物の名前。
(例文)Aさんは琴とお茶を習っており、大和撫子というにふさわしい女性だ。
花顔柳腰(かがんりゅうよう)→花のごとき顔 柳のごとき腰
美人を表すもの。
「花顔」は「花のように美しい顔」、「柳腰」は「柳のように細くスタイルがよい腰」を指す。
(例文)彼女の容姿はまさしく花顔柳腰であり、沢山の男から想いを寄せられている。
敗柳残花(はいりゅうざんか)→敗(そこな)う柳 残りの花
美人の容姿が衰えるさま。
「花」「柳」は女性の容姿をたとえている。「花顔柳腰」と同じ。
曲眉豊頰(きょくびほうきょう)→曲なる眉 豊かなる頰(ほほ)
美人を表すもの。
「曲眉」は「三日月のように曲がっている眉毛」、「豊頬」は「柔らかい頬」を指し、どちらも美人の条件であった。
羞花閉月(ちゅうかへいげつ)→羞じる花 閉じる月
女性の容姿が優れていること。
花が恥じて月が閉じるほど美しいという所から。
沈魚落雁(ちんぎょらくがん)→沈む魚 落つる雁
非常に美しい女性のこと。
あまりの美貌に魚が恥ずかしくなって沈み、飛んでいる雁が空から落ちるという所から。
元々の『荘子』では、「人間にとっては美人でも、魚や雁にはその美しさが通用せず、逃げてしまうように、価値観は絶対的ではない」という意味で述べられる。
華如桃李(かじょとうり)→華やかなること桃李のごとし
女性の容姿がよいこと。
桃やスモモの花が咲いている様子を女性の美しい容姿にたとえている。
天姿国色(てんしこくしょく)
生まれた時からこの世のものとは思えないほど美しいこと。
「天姿」は「天より与えられた姿」、「国色」は「国の中で色香が最も優れていること」を表す。
牝鶏牡鳴(ひんけいぼけい)
女性が権力を握って勢力を築くこと。
雌鶏が雄鶏の鳴き声をまねる所から。日の出で鳴くのは雄鶏であり、雌雄の鶏が鳴くことは、皇后などが権力を握り、国家が危うくなる予兆だとされていた。
媚眼秋波(びがんしゅうは)→媚びる眼 秋のごとき波
美人のなまめかしい色目。
「媚眼」は「媚びる目つき」、「秋波」は「秋のように涼やかな波」という意味。
婦怨無終(ふえんむしゅう)→婦の怨み 終わり無し
男性からの愛情を失った女性は、いつまでも男性への恨みを忘れないこと。
9、自然に関する四字熟語
風光明媚(ふうこうめいび)→風光 明らかに媚(うつく)し
自然の眺めが清らかで美しいこと。
「風」「光」共に「景色」、「媚」は「美しい」の意味。
(例文)中国の西湖(せいこ)は風光明媚で、世界的な観光名所である。
千朶万朶(せんだばんだ)
沢山の花が咲き乱れていること。
「朶」は「花が咲いている枝」。
百花繚乱(ひゃっかりょうらん)→百花繚(みだ)れ乱(みだ)る
様々な花が咲き乱れること。転じて、多くの優れた人物が世の中に出てきているありさま。
清風明月(せいふうめいげつ)→清き風 明るき月
明るい月夜が静かで清らかな様子。
花鳥風月(かちょうふうげつ)
自然の美しい景色。「花」「鳥」「風」「月」が自然の美しさを示す代表的なもの。
桃紅柳緑(とうこうりゅうりょく)→桃の紅 柳の緑
美しく鮮やかな春の景色のこと。
白兎赤烏(はくとせきう)
時間のこと。
「白兎」は月のこと。昔、月には兎が住んでいると信じられていたことから。「赤烏」は太陽のこと。昔、太陽には三本足のカラスが住んでいると信じられたことから。「月」と「太陽」→日月→時間。
薄暮冥冥(はくぼめいめい)→薄(せま)る暮 冥冥なり
夕暮れ時の薄暗いさま。
(例文)秋の薄暮冥冥とする時間帯は、いつももの悲しい気持ちになる。
風花雪月(ふうかせつげつ)
四季それぞれの美しい風景のこと。
「風」=夏、「花」=春、「雪」=冬、「月」=秋。
問柳尋花(もんりゅうじんか)→柳を問い花に尋ぬ
春の季節を楽しむこと。また、色町で遊ぶこと。
落花啼鳥(らっかていちょう)→落つる花 啼(な)く鳥
自然の風情のこと。孟浩然「春暁」が出典。
落英繽紛(らくえいひんぷん)→落つる英(はな) 繽紛す
花びらが散って乱れ舞う様子。
「繽紛」は「(咲き)乱れるさま」。
落花流水(らっかりゅうすい)→落つる花 流るる水
過ぎていく春のこと。花びらが散って川に落ち、流れていくさまを春が過ぎていくことにたとえている。
遊山翫水(ゆあんがんすい)→山に遊び水に翫(あそ)ぶ
山や川などの美しい景色を見て自然を楽しむこと。
10、その他の関する四字熟語
欣喜雀躍(きんきじゃくよう)→欣(よろこ)び喜び 雀のごとく躍る
大変喜ぶさま。「雀躍」は、雀のように飛び跳ねるさまを、人間が非常に喜んでいるさまにたとえている。
破竹之勢(はちくのいきおい)→破竹の勢い
止めることができないほど勢いがあること。竹は一節縦に切ると、その後は大して力を入れなくても切れていくことから。
已己巳己(いこみき)
よく似ていてまぎらわしいさま。
「已」「己」「巳」「己」の字形が似ていてまぎらわしいことから。
金科玉条(きんかぎょくじょう)
自分の心の支えとする言葉や教訓のこと。「金」「玉」は共に貴重なもののたとえ。「科」「条」は共に上文のこと。
(例文)Aさんは父親からの「他者への敬意と感謝を忘れるな」という言葉を金科玉条として生きている。
艱難辛苦(かんなんしんく)
困難な状況に苦しく悩むこと。
(例文)Aさんは仕事のクビという艱難辛苦を乗り越え、再就職することができた。
青息吐息(あおいきといき)
ためいきが出るほど苦しい状況のこと。「青息」は苦しい時に吐く息、「吐息」はため息。
(例文)Aさんは受験に失敗し病気にもなり、青息吐息の状態である。
霹靂閃電(へきれきせんでん)
勢いが激しく非常にすばやいこと。