人生に役に立つ漢文の面白い話 3選 | ハナシマ先生の教えて!漢文。

人生に役に立つ漢文の面白い話 3選

ポイント

  • 「塞翁が馬」からは、「調子が良い時でも油断せずに努力するべきだし、不運な時には悲観的にならず、投げ出さず地道に頑張っていくべき」「自分の幸不幸を決めるのは、周りではなく自分」ということを学べる。
  • 「五十歩百歩」からは、「自分のことを過大評価していないか?」と、自己を客観視して戒めるきっかけにすることができる。
  • 「守株」からは、時代に合わせた柔軟な考え方の重要性を学ぶ事ができる。

1、漢文は面白くて役に立つ?

こんにちは。本日は、漢文の面白い話を紹介させていただきます。

先生こんにちは。漢文って、堅苦しくて面白いイメージあるんですが、本当にそんな話あるんですか?

確かに漢字ばかりで堅苦しいイメージはありますが、面白い話は沢山ありますよ!
その中でも今回は、教訓として我々も役立てられる話を3つ紹介します!

2、何が幸運で何が不幸かは、時間が経たないと分からない 「塞翁(さいおう)が馬」

まず紹介したいのは、「塞翁が馬」というエピソードです。

エピソード その1

塞翁(さいおう)が馬

 とある国境の砦に、父親と息子が暮らしていた。ある日、父親の飼っている馬が逃げ出した。(当時の馬は大切な財産)それを知った近所の人たちは、父親を慰めに見舞った。「お気の毒に」と。

 すると父親はこう返した。「それはどうだろう。この災難が幸福になるかも知れないよ」と。そしてしばらくたったある日、なんと逃げた馬が、たくさんの野生の駿馬を従えて戻ってきた。その出来事に、近所の人たちもお祝いに駆けつけます。「逃げた馬が戻って来ただけでなく、駿馬を連れ帰ってくるとは、よかったですね」と。

 すると父親はこう返した。「それはどうだろう。この幸福が災難になるかも知れないよ」と。ある日、息子が野生の馬を手なずけようとした際、落馬し足を骨折してしまった。その野生の馬とは、以前逃げ出した馬が連れ帰った駿馬(しゅんめ)である。ご近所さんたちも、お見舞いに訪れた。「かわいそうに息子さん、大怪我をしてしまったな。」と。

 すると父親はこう返した。「それはどうだろう。この災難が幸福になるかも知れないよ」と。そのうち、その父親と息子が暮らす地域でも戦が始まり、集落の若者は駆り出されることとなった。しかし父親の息子は、足を骨折していたため戦力にならないという理由から、徴兵を免れることができ、うまく生き残った。

 この話から明らかなように、幸福が災難となり、災難が幸福となることもあるのである。そして、このような変化のありさまを見極めることは非常に難しいのである。

出典→『淮南子』

「塞翁が馬」の塞=砦、翁=おじいさんという意味です。

ストーリーとして面白いですが、現実で「何が幸運で何が不幸かは、時間が経たないと分からない」ことってあるものですか💦?

沢山ありますよ!具体例を少し挙げてみましょうか。
福→不幸のパターン
・恋人ができたけど、自己中な人で振り回されて疲れた。
・美人orイケメンに生まれたが、周りから妬まれたり、格好をつけたりしないといけなくなった。
・お金持ちになったけど、近づいてくる人がお金目的になって、通常の友人関係を作られなくなった。
・努力して志望する大学に受かったけど、周りのレベルが高すぎてついていけなくなった。
・両親が優しい家庭に生まれたけど、優しさに甘えすぎてニートになった。
・どはまりする趣味ができたが、散財が激しくなった。

びっくりするくらい現代人にも当てはまりますね…笑 今私が幸運って思っていることも、もしかしたら不幸の入り口である可能性があるということですね💦急に不安になってきました…💦

確かに、今受けている幸運は、不幸のはじまりかもしれませんが、そもそもずっと幸運な人生などあり得ませんし、その逆も然りです。

逆パターンも挙げてみましょうか💡
不幸→福のパターン
・恋人にフラれたけど、より素敵な恋人ができた。
・不細工に生まれたが、その分嫉妬を受けることもなく、容姿を努力でカバーすることができた。
・お金持ちではないが、利害に関係のない純粋な友だちを作ることができた。
・志望大学には入ることができなかったけど、気の合う友人を作ることができた。
・両親と仲が悪かったけど、その分ハングリー精神が身に付き、メンタルが強くなった。
・夢中になれる趣味はないが、貯金を沢山することができ、将来に備えることができた。

全て納得できます…笑 「人生山あり谷あり」ってことですね✨

そういうことです。もう少し具体的に述べると、この話からは、「調子が良い時でも油断せずに努力するべきだし、不運な時には悲観的にならず、投げ出さず地道に頑張っていくべき」ということを学べると思います✨

なるほど…特に後半の「不運な時には悲観的にならず、投げ出さず地道に頑張っていくべき」が気に入りました!私は辛いことがあったらずっとくよくよしているので、いつか状況が変わると信じて、地道にできることを頑張りたいと思います✨

素敵な解釈だと思います。ちなみに、この話はノーベル賞を獲得された山中伸弥教授の座右の銘でもあります。

ノーベル賞を取った人が言うと説得力がぐんと上がりますね笑。山中教授も、うまくいかなくても「塞翁が馬」を信じて地道に頑張ったって事ですね✨励まされます!

人間の幸不幸を決めるのは、「才能や環境のような境遇」というよりは、「どれだけポジティブに生きられるか=自分自身の認識」と言ったほうがよいかもかもれいませんね。

3、あなたは自分を過大評価して「痛い人」になっていませんか? 五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)

次に紹介したいのは、五十歩百歩のエピソードです💡

エピソード その2

五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)

 魏(ぎ)の恵王(けいおう)が、孟子に尋ねた。「私は国に対し、精一杯尽くしてきたつもりだ。隣国の政治と比べても、私のように注意の行き届いている王はいない。にもかかわらず、隣国の人口が減らず、私の国の人口が増えないのはなぜだろうか」と。

 孟子がかしこまって答えた。「王様は戦争が好きですので、戦争に例えて申します。太鼓を打ち鳴らし戦争がはじまりました。そのようなときに、鎧を脱いで逃げ出す兵士がいました。ある者は百歩逃げて止まり、ある者は五十歩逃げて止まりました。五十歩逃げた者が、百歩逃げた人を笑ったらどう思われますか?」と。

 王が答えた。「それはおかしい。五十歩逃げた者も百歩逃げた者も、逃げたという点では変わりないではないか。」

 孟子が答えた。「王様はよくわかっていらっしゃる。ならば、人民が隣国より増えることを期待されるのはおかしな話です。あなたの政治は、五十歩逃げた兵士と百歩逃げた兵士と同様に、他国の政治とほぼ変わらない程度のできです。」と。

出典→『孟子』を一部改変・省略した。

原文はやや回りくどいので、適宜省略と改変を行っています。いかがでしょうか?

「五十歩百歩」って、「どんくりの背比べ」と同じように使われている言葉ですよね?漢文が元ネタだったんですね💡

その通りです。現代日本語との関わりでも注目して欲しいですが、ここでは特に、「恵王が自分の実力を客観的に把握できていないこと」に注目して欲しいです。

自分の中では、「自分は他国の王より凄く政治ができている!」って思っていたのに、孟子から見れば、戦場で50歩か100歩逃げるかのささいな違いでしかないということですね。

できていない人ほど、自分はできているって勘違いしますよね💦「井の中の蛙」って感じですか?

そうです。スポーツでも勉強でもそうですが、「自分はスポーツができるor頭が良い」などと思っている人ほど、周りが見られておらず、勘違いしてしまうんですよね💦

クラスにもそんな人いますし、私も小さい頃、調子に乗ってたことがあるなぁ…💦

自信を持つことは良いことですし、若いうちは調子に乗るのも仕方がありませんが、そうやって自分の実力をうまく把握できない人は、努力を怠ったり、周りから避けられたりするので、徐々にでも直していくのがよいかもしれません。

恵王みたいな痛い人にならないためには、どうすれば良いのですか?

広い世界に触れ、自分以上の存在と常に関わることだと思います💡
自分以上の存在がいれば、調子にも乗りづらくなりますし、その人を目指して努力もしやすくなるでしょう。

なるほど…気を付けてみます!✨

私も恵王のようにならないよう、常に視野を広く、優秀な人を見て研鑽を積みたいですね✨

4、あなたの考えは時代錯誤ではないですか? 守株(しゅしゅ)

エピソード その3

守株(しゅしゅ)

 宋(そう)の人に畑を耕している者がいた。畑の中に木の切り株があった。ある時偶然、うさぎが走ってきて切り株に当たり、首を折って死んだ。

 そこで農具を捨てて切り株を見守って、またうさぎを手に入れることを願って何もしなかった。しかし、うさぎは二度とは手に入れることができず、自身は国中の笑いものになった。

出典→『韓非子』(一部省略)

この話は、「昔のやり方でうまくいったからと言って、それがいつまででも通用するとは限らない」という意味が込められています。

マオさんは、「時代錯誤な考え方」と言われて、どのようなものが思いつきますか?

そうですね…「中学・高校の無駄に厳しい校則」なんかは、時代錯誤って感じします。髪の長さとか、アクセサリーとか、厳しすぎません!?

確かに、価値観が多様化した現代においては、時代錯誤ですね。
個人的には、派手すぎて近隣の方々に嫌な印象を与えないのなら、緩めてもよいと思います💡

あとは、お父さんの女の子に対する考え方とかも古くさいなぁって思っちゃいます
例えば、「女に学歴は要らない」とか「女は料理ができないといけない」とか💦

確かに、現代だと女性でも学歴が高い方が多いですし、バリバリ活躍されていますね。
また、最近は美味しくて安い食事が気軽に食べられますし、女性が料理する必要もなくなってきていますね。一昔前だと当たり前の考えですが、現代だと古くさいのかもしません。

まぁ、現代でも料理がうまい女性は男性から凄くモテますけどね。

やっぱり料理頑張ります!!笑

冗談は置いておいて、特に様々な価値観があって劇的に変化している現代において、この話は割と刺さるのではないでしょうか?

この話をお父さんに見せてみます笑
あと、私はまだ学生ですが、年を取っても、時代に合わせた考え方を見つけられるよう、頑張ります!

また個人的には、「先生→生徒への一方通行の授業」も「守株」の例だと感じます。

最近は、生徒が発言できるような授業作りが行われつつあるんでしたっけ?

先生→生徒への一方通行の授業スタイルは、日本で昔から行われてきた伝統的な授業法ですが、やはり伝達が一方的だと、生徒の学習効率も低いですし、何より生徒がつまらないと思います。

だから、生徒が発表したり発言したりできる双方向型の授業が推奨されている訳ですね💡
生徒の私からすると、自分で何か発言できたほうが楽しいです✨

確かに推奨はされていませんが、中々定着はしていないようですね💦

伝統や一度定着した価値観を変えるのは難しいってことですね。

そうかもしれません。
もちろん、古い価値観や方法にも学ぶべき所はありますが、柔軟に変化する時代に合わせるのも大切だと思います。

以上、本日は「面白い役に立つ漢文エピソード」ということで、紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

どれも面白かったですし、今後の人生に役立てられそうでした!もっとこんな話があれば教えて欲しいです✨

まだまだ面白い話はあるので、またの機会に紹介します。お疲れ様でした💡

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です