ポイント
- 押韻(おういん)とは、同じ音か同じ母音の言葉を用いる技法。(例:「長(ちょう)」と「霜(そう)」は「お」の母音+「う」で押韻、「衣(い)」「帰(き)」「稀(き)」「飛(ひ)」「違(い)」は全て「い」が母音。)
- 漢詩には、押韻(おういん)というテクニックが用いられ、リズムを良くするために用いる。(現代日本の音楽でも用いられる)
- 絶句と律詩は、偶数句末の漢字が押韻する。(また、1句目末も押韻することがある。古詩の場合も、偶数句末の漢字が押韻していることが多いが、全てではない。)
- 受験だと、押韻の箇所を空欄にして、「選択肢の中から最もふさわしい漢字を選べ」という問題がよく出てくるので、同じ韻の漢字+意味から総合的に判断すればOK。
1、押韻とは?
みなさんこんにちは。漢詩の基礎①②に続き、本日は第3弾「押韻(おういん)」について学びましょう💡
先生!「押韻(おういん)」って何ですか?
「韻を踏む」という意味です。「押韻」の「押」は、「押す」ではなく「(韻を)踏む」という意味です。
まぁ「押す」も「踏む」も意味のイメージとしては近いので、理解しやすいかもしれません💡
韻を踏むって…あのラップとかでよくされるやつですか?
その通りです💡ラップだとよく韻が踏まれていますが、普通のJPOPの歌詞でも韻は踏まれていることがあります。
例えば、こちらの歌詞をご覧下さい。
「万歳(フレー)!万歳(フレー)!日本晴れ 列島草いきれ 天晴れ」(NIPPON/椎名林檎)
どこが韻を踏んでいるか分かりますか?
「 日本晴れ 列島草いきれ 天晴れ 」で、それぞれ最後が「れ」で韻を踏んでいます。すごくリズムが良いですね✨
その通りです!また、押韻の役割についても、既に分かっちゃいましたね笑
押韻とは、主にリズムを良くするために用います。それは、現代日本の音楽でも、漢詩でも変わりません。
JPOPと同じって聞くと親近感が湧きます✨
また押韻については、「同音を並べる」ではなく「同じ母音を並べる」ことを指すので注意しましょう!
???
これも具体例を挙げましょう。
ダーリンダーリン 色んな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴らしくて 僕は愛を思い知るんだ
半信半疑 傷つかないための予防線を
今微妙なニュアンスで君は示そうとしている(Mr.Children/しるし)
この歌詞にも押韻している部分があります。どこか分かりますか?
歌詞だけみると良く分からなかったけど、実際に音楽聴いたら分かりました!「ダーリンダーリン」と「半信半疑」が韻を踏んでいます!
正解です! 「ダーリンダーリン」と「半信半疑」は同音ではないですが、前半二音の母音(=あ・い・う・え・お)が一緒です💡
ダーリンダーリン
はんしんは んぎ
→「ダ」と「は」(どちらも「あ」の母音)、「リ」と「し」(どちらも「い」の母音)が押韻。
「ダーリン」と「はんしん(半信)」が韻を踏んでいたから、リズムよく聞こえたのですね✨
2、絶句と律詩は偶数句末の漢字が押韻する!
JPOPで押韻についてはだいたい分かったと思いますので、次は本題の漢詩における押韻について学びましょう!
JPOPの押韻が面白すぎて、本題忘れていました笑
絶句と律詩は、偶数句末の漢字が押韻します。(また、1句目末も押韻することがあります。)
下の漢文で確認してみましょう!○を付けている所を音読みすれば分かります。
えーと…「秋浦の歌」が「長(ちょう)」「霜(そう)」で押韻、「曲江」が「衣(い)」「帰(き)」「稀(き)」「飛(ひ)」「違(い)」で押韻しています!
良いですよ!注意点としては、訓読みではなく音読みすることです。また、ある程度の漢字の音読みが分からないと、漢文の押韻も分からないので注意しましょう💡
今回だと、「稀(き)」とか難しいですね💦
難しい漢字の場合は、一部の読みをそのまま用いるとOKな場合が多いです。今回だと、「 稀(き)」の右は「希(き)」であり、同じ読みです💡
なるほど…困ったら読める部分をそのまま音読みとして判断してみます✨
※なお、漢詩が作られた当時の漢字音と、現代日本語の漢字音は、イレギュラーな変化をしている場合があるため、このような手法では押韻が分からない場合があります。しかし、そのような問題が大学受験で出てくることはほぼ無いので、ご安心下さい!
まぁとはいっても、漢詩を読むとき書き下してしまったら、読む順番が変わるので、押韻の効果はあまりなくなってしまうんですけどね笑
漢詩の押韻を本当の意味で味わいたいのなら、中国語としてそのまま読む必要があります。まぁ受験には必要のない知識なので、スルーしてもらって大丈夫です💡
受験には関係ないけど、自分の好きな漢詩は本場の発音で聴いてみたいなぁ✨
それはまた別の機会に体験してみましょうか✨
3、練習問題
それでは、以下の漢詩について、形式と押韻している箇所を答えましょう!
送別/魚玄機は、七言絶句で押韻が「期(き)」「離(り)」「(飛)ひ」、
春日、李白を憶う/杜甫は、五言律詩で押韻が「群(ぐん)」「軍(ぐん)」、「雲(うん)」「文(ぶん)」です💡
完璧です!素晴らしい✨
へへへ…ていゆうか、絶句で上みたいな配置(1行に2句ごと)だったら、文末見ればよいだけじゃないですか?めっちゃ楽でした笑
気付きました?おっしゃる通り、絶句がこのように配置されている際は、一番下の漢字をチェックするだけでOKです。共通テストはこの方式で載せることが多いので、押韻の問題が来たら「もらった!」と思って下さい✨
あと受験だと、押韻の箇所を空欄にして、「選択肢の中から最もふさわしい漢字を選べ」という問題がよく出てくるので、同じ韻の漢字+意味から総合的に判断すればOKです💡
今回で大分漢詩の読み方が分かってきた気がします。ありがとうございました!
ちなみに…古詩の場合も、偶数句末の漢字が押韻していることが多いです(全ての部分ではないですが)。一応抑えておきましょう!お疲れ様でした。