漢文における「左右(さゆう)」の意味と役割を解説!

ポイント

  • 漢文における「左右」は「側近」という意味があり、漢文によく登場する。(普通に「右と左」の意味もあり)。
  • 「左右」は、元々「居従左右者(左右に居りて従う者)」で、それが省略されて「左右」になった可能性がある。
  • 漢文における「左右」は、「重要ではないが、物語上必要な脇役」として登場することが多い。

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1、「左右」=「側近」!

こんにちは。本日は、「左右」という重要語について解説していきます。

「左右」って、普通に「左と右」ではないんですか?

もちろん、「左と右」という意味もありますが、他に「側近」という意味もあるので、必ず抑えておきましょう!

なんで「左右」で側近になるんですか?💦

恐らくですが、「偉い人の「側=左右」にいつも付き従っている人」という所から、「左右」だけで「側近」を表すことになりました。

つまり、「左右」って元々は「居従左右者(左右に居りて従う者)」で、それが省略されて「左右」になったってことですか?

その可能性は充分にありますね。なにせ、漢文は簡略であることを尊ぶので💡

また、現代語との関わりで言うと、「○○君は社長の右腕」のような「右腕(=側近で信頼できる部下)」の「右」と用法が似ていますね。

確かに…現代でも「右」で「側」を表すことがあるから、繋がりが分かります。

いきなり「左右」=「側近」と言われてもピンとこないけど、ここまで説明してくれると頭に入りやすいです✨

2、漢文における「左右」の役割

次に、実際の漢文で「左右」がどのように出てくるのか、確認してみましょう。

漢文における「左右」は、「重要ではないが、物語上必要な脇役」として登場することが多いです。

「「左右」が登場する例文①

『呂氏春秋』

魏公叔痤疾。恵王往問之。曰、「公叔之病甚矣。将奈社稷何。」公叔対曰、「臣之御庶子鞅、願王以国聴之也。為不能聴、勿使出境。」王不応出而謂左右曰、「豈不悲哉。以公叔之賢、而今謂寡人必以国聴鞅、悖也夫。」公叔死、公孫鞅西游秦、秦孝公聴之。秦果用彊、魏果用弱、非公叔痤之悖也、魏王則悖也。夫悖者之患、固以不悖為悖。

魏の公叔痤は病気になった。恵王は彼を見舞い、次のように述べた。「あなたの病気はとても重そうである。国の政治をどうしたらよいだろうか。」と。公叔痤は「私の家の鞅という者がおります。願わくばその者に国政を任せて下さい。もしそれを聞き入れてもらえない場合は、(鞅を)他国へ行かせてはなりません。」と。王は返事をせずに退出し、  

側近に述べた。「悲しいことではないか。賢者である公叔痤が鞅に国政を任せろなどと言うとは。(彼は)おかしくなってしまったようである。」と。

公叔痤が死ぬと、鞅は(他国である)秦へ向かい、秦の孝公は彼(の献策)を聞き入れた。秦は結局、鞅の(献策)によって強国となり、(鞅が去った)魏は弱国となった。公叔痤がおかしくなったのではなく、魏王のほうがおかしかったのである。頭のおかしな者の欠点は、まともな人間を「おかしな者」だとみなしてしまうことである。

公叔痤=人名 恵王=人名 鞅=人名 

「「左右」が登場する例文②

『淮南子』

中行穆伯攻鼓、弗能下。餽聞倫曰、「鼓之嗇夫、聞倫知之。請無罷武大夫、而鼓可得也。」穆伯弗応。左右曰、「不折一戟、不傷一卒、而鼓可得也。君奚為弗使。」穆伯曰、「聞倫為人、佞而不仁。若使聞倫下之、吾可以勿賞乎。若賞之、是賞佞人。佞人得志、是使晋国之武、舍仁而從佞。雖得鼓、将何所用之。」

中行穆伯は、鼓(という城)を攻めたが落とすことができなかった。餽聞倫が「鼓の役人なら、私がよく知っています。味方を疲労させずに、鼓が得られるように(内通させ)ましょう。」と述べたが、中行穆伯は(その提案に)応じなかった。

側近は、「犠牲なく鼓が手に入るにも関わらず、なぜ餽聞倫を派遣して(内通させない)のですか?」と質問した。

中行穆伯は言った。「餽聞倫は、口先だけが巧みでまごころに欠けた人物である。もし餽聞倫を派遣させて功績を立てると、私は彼に褒賞を与えないといけない。彼に褒賞を与えるということは、不道徳な人間(を賞賛して)褒賞を与えるということである。そうなると、国中の軍人が彼の行為をまねし、道徳を捨てた行動をさせてしまうことになる。(従って)たとえ鼓が得られるとしても、彼の献策を用いることはできない。」と。

中行穆伯=人名 鼓=城の名前 餽聞倫=人名 嗇夫=役人

なるほど…例文①では、王様の発言を聞く役割で、例文②では中行穆伯の一見筋の通っていない行動の理由を聞く役割を持っていますね💡

確かに、話を左右するほど重要ではないですが、「左右」がいることで話がうまく展開していますね。漢文における「左右」の役割が分かった気がします。

逆に言えば、「左右」が側近であることが分からないと、話の流れが見えにくくなります。物語をしっかり理解するために、「左右」の意味はしっかりと抑えておきましょう!

それにしても、例文①の「頭のおかしな者の欠点は、まともな人間を「おかしな者」だとみなしてしまうことである。」って、なんだか恐ろしさを感じます…

そうですね。視野がせまく、独善的な人は、しばしばこのようになりがちですね💦お互い気を付けましょう。


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