漢文における「患(うれ)う」について解説 「内憂外患」「憂患」 | ハナシマ先生の教えて!漢文。

漢文における「患(うれ)う」について解説 「内憂外患」「憂患」

ポイント

  • 「患(うれ)う」=「憂う」=「心配する」「思い悩む」「嘆く」。(「患(わずら)う」の読みもあり)
  • 「病(やまい)は気(=憂い)から」というイメージの連想で理解するべし。
  • 「不患人之不己知、患己不知人也。(人の己を知らざるを患えず。人を知らざるを患うなり。)」は「(他)人が自分のことを分かってくれないのを心配する(べき)ではない。(自分が他)人のことを良く分かっていないのを心配する(べき)である。」という意味。
  • 上の名言は、自分のことばかり考えるわがままな人間にならないために、また周りの人との関係を円滑にするために、この言葉は知っておいてよい。
  • 「患(うれ)う」は、「内憂外患」「憂患」の「患」。

1、「患(うれ)う」の意味

こんにちは!今日は、「患(うれ)う」について学んでいきましょう。

 特に、「遂」=「行くところまで行きつく」というイメージで全て意味がくくれるのが面白かったです✨

人間、単に暗記するだけではしんどいものです。遠回りかもしれませんが、しっかりと理屈や背景を知ったほうが定着しやすいですよね。

本日取り上げる 「患(うれ)う」 ですが、基本的には現代日本語の「憂う」と同じと思ってもらって大丈夫です。意味は、「心配する」「思い悩む」です。また、「患(うれ)い」のように、名詞として用いることもあります。

「患(うれ)う」=「憂う」=「心配する」「思い悩む」「嘆く」ですね💡 「患(うれ)う」って読みだけ抑えておけば大丈夫かな✨

そうですね。追加のポイントとしては、現代日本語だと、患者(わずら/う 者)患部(わずら/う 部分)罹患(わずら/い わずら/う)のように、「病気になる」といった意味で用いることが多いことですね。
漢文でも「患(わずら)う」と読むことはありますが、「患(うれ)う」と読むこともあります。

確かに、「患」は病気に関わる熟語でよく使われていますね💡でも、「うれう」も「病気になる」も、マイナスイメージで共通していますね。「病(やまい)は気(=憂い)から」みたいな?

その感覚は大切にしましょう!実際、そのように「患」の意味は派生していったと考えられています。

2、「患(うれ)う」の例文・名言

では次に、「患(うれ)う」を含んだ名言を紹介させて下さい。ナナさんは、「不患人之不己知、患不知人也。(人の己を知らざるを患えず。人を知らざるを患うなり。)」という言葉を知っていますか?

はじめて聞きました。どんな意味ですか?

「(他)人が自分のことを分かってくれないのを心配する(べき)ではない。(自分が他)人のことを良く分かっていないのを心配する(べき)である。」という意味です。

うーん…分かるような分からないような…💦

そうですねぇ…例えば、ナナさんは誰かとケンカしたことはありますか?

お母さんとよくケンカします笑💦

その時、「どうして分かってくれないの!?💢」みたいな感じで、お母さんに言ってしまったことはありますか?

…あります笑

ナナさんを含め、世の中のケンカや不仲というのは、「自分の気持ちや考え方が相手とぶつかってしまうから」起こるケースが多いです💡

例えば、「勉強しなさい!」と言う親と、「勉強じゃなくて遊びたい!」という子どもがよく言い合いになりますが、これは親の「勉強しないと子どもの人生が失敗してしまうかもしれない」という親心と、「勉強する意味が分からず、自分のやりたいことをしたほうがいい」という子どもの心がぶつかった結果です。

確かに…でも、どちらにも一理ある気がする。

そうなんですよ。どちらも完全に間違っているということではありません。
でも人間というのは、しばしば自分の気持ちや価値観を大切にしすぎてしまいます。そして、それを他者と無理やり共有したがります。しかし、他者にも他者なりの考え方があって、それを守ろうと反論します。だから衝突してしまうのです

なるほど…💦

だからこそ、「人の己を知らざるを患えず。人を知らざるを患うなり((他)人が自分のことを分かってくれないのを心配する(べき)ではない。(自分が他)人のことを良く分かっていないのを心配する(べき)である。)」なのです。

つまり、「自分の考え方だけを優先するのではなく、相手がなんでそんなことを言っているのだろう?」とよく考えて理解しようとする姿勢が大切ってことですね✨

私ももう少し、お母さんの気持ちを考えてみます。

そうですね。自分のことばかり考えるわがままな人間にならないために、また周りの人との関係を円滑にするために、この言葉は知っておいてよいと思います💡私も気を付けねば…

3、「内憂外患」「憂患」と「患(うれ)う」

では最後に、「患(うれ)う」を含む熟語について学びましょう!

はい!

ナナさんは、「内憂外患(ないゆうがいかん)」という熟語を知っていますか?

聞いたことあります。確か、世界史で明(みん)の歴史を学ぶときに聞いたような…

その通りです!明の時代、国内では宦官(かんがん)、国外では北のモンゴル民族、南では倭寇(海賊)によって苦しんでいました。このような状況を「内憂外患(内に憂いて外にも患う)」と言います。

思い出しました!明は大変だなぁって思いました笑

「内憂外患」は、国だけでなく組織全般に用いられることがあります。例えば、「家庭内は両親が不仲で子どもがニート、家庭外では父親の稼ぎが悪い」のような状態でも「内憂外患」と言って良いです。

「泣きっ面に蜂」に少し似てますね。とにかく、「めっちゃ苦しい状況」って理解します💡

それで大丈夫です。そして、「内憂外患」の「憂」と「患」は、どちらも「心配事or問題」という意味で共通しています。これに関連して、 「心配事or問題」の意味である「憂患(ゆうかん)」という熟語が存在します。

なお、「患」には「わざわい」という意味もあり、「患禍」と熟することもあります。

「心配事」と「わざわい」は、意味的に似ているから、覚えやすいかなぁ。

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