雨に関する漢詩を3つ紹介! 雨をポジティブに楽しむには? | ハナシマ先生の教えて!漢文。

雨に関する漢詩を3つ紹介! 雨をポジティブに楽しむには?

こんにちは。みなさんは、雨が好きでしょうか?苦手でしょうか?
このページでは、雨にまつわる漢詩を3つ紹介します。読めば、雨に対するイメージが変わるかもしれません💡

ちなみに、雨が多い季節の「梅雨」は、元々「黴雨(ばいう)」という表記で、「黴(かび)」が生えやすい時期のことを指していました。しかし、イメージが悪いことと、6月に旬となる「梅(ばい)」と「黴(ばい)」が同音であったことから、「梅雨(ばいう)」と表記されるようになったそうです。そして、江戸以降に「梅雨(つゆ)」と読まれるようになりました。(諸説有り)面白いですね✨

1、恵みの雨に感謝する 「春夜喜雨(春夜 雨を喜ぶ)」/杜甫

【現代語訳】
良い雨は、降るべきタイミングをしっかり心得ており、春の季節になると、たちまち雨が降ってきた。
(雨は)風と共に静かに夜の中に紛れ込み、細やかに音も無く様々なものを潤す。
野の小道でと雲は共に(夜の)闇にまぎれ、川に停泊している舟では、漁火(いさりび)がただ1つ赤々と燃えている。
朝になって紅の湿っている所を見てみれば、成都に(露に濡れながら)しっとり咲いている花(を見ることができる)。
※成都(せいと)→当時、杜甫が住んでいた都市。

【原文・書き下し】
好雨知時節 当春乃発生 好雨 時節を知り 春に当たって乃ち発生す
随風潜入夜 潤物細無声 風に随て潜かに夜に入り 物を潤して細やかにして声無し 
野径雲倶黒 江船火独明 野径 雲は倶に黒く 江船 火のみ独り明らかなり
暁看紅湿処 花重錦官城 暁に紅の湿う処を看れば 花は錦官城に重からん

【ポイント】
・「好雨知時節 当春乃発生(好雨 時節を知り 春に当たって乃ち発生す)」で、春の雨に感謝している所。
→現代だと技術が発達してその恩恵を味わいづらいが、昔の雨は農業をはじめとして、生活する上で重要であった。そのことを感じさせてくれる句か。
→あなたは、雨を「恵みの雨」と感じたことがありますか?ある場合は、どのようなシチュエーションですか?

・「暁看紅湿処 花重錦官城(暁に紅の湿う処を看れば 花は錦官城に重からん)」で、雨で濡れた花に注目している所。
→あなたは、雨のしずくに濡れて朝日に照らされた花が美しいと感じたことはありますか?

2、雨を視覚と聴覚で味わう 微雨(微かなる雨)/僧皎然

【現代語訳】
通り雨が軒先の柱を濡らし、うっとうしい気持ちが(漂う)辺りを清々しい(ものに変えていく)。
細やかに降る雨が麦畑を濡らし、しっとりとして植物の生い茂る城壁まで(通り雨が)近づいていく。
花びらと共に落ちる(雨を)心静かに(鑑賞して)愛で、竹に降り注ぐ(雨の)音が、微かに聞こえてくるに耳を澄ます。
(雨を)朝から(ずっと)鑑賞しても興味が尽きることがない。高らかに吟じて物静かな気持ちを表現する。

【原文・書き下し】
片雨払檐楹 煩襟四座清。 片雨 檐楹(えいえい)を払(はら)い、煩襟 四座清し。
霏微過麦隴 蕭瑟傍莎城。 霏微(びび)として麦隴に過り、蕭瑟として莎城に傍(そ)う。
静愛和花落 幽聞入竹声。 静かに愛す花に和して落つるを、幽(かす)かに聞く竹に入る声を。
朝観趣無限 高咏寄閑情。 朝に観じて趣 限ること無し、高く咏じて閑情を寄す。

【ポイント】
・「静愛和花落、幽聞入竹声。(静かに愛す花に和して落つるを、幽(かす)かに聞く竹に入る声を。)」で、視覚と聴覚で雨を味わっている所。
→雨はジメジメしてうっとうしいイメージがある一方、風流を感じることもできる?
→あなたは、雨に風流を感じることがありますか?

・「朝に観じて趣 限ること無し」で、いつまででも雨を味わっている所。
→あなたは、自然を何時間も味わうことができますか?
→あなたにとって、「何時間でも味わえること」とは何でしょう?

3、秋夜の雨の中 妻へ想いを寄せる 夜雨寄北(夜雨 北に寄す)/李商隠

【現代語訳】
お前は(私が)いつ帰るのか尋ねてくるが、その時期は分からない。
(私は今)巴山(はざん)で夜の雨が秋の池に水をみなぎらせている音(を聴いている)。
いつになれば、(我が家の)西向きの窓で、一緒にロウソクの芯を切りながら(長い時間にわたって)、
巴山で夜の前を聴いている(今の私のこの気持ちを)伝えられるだろうか。

※「ロウソクの芯を切りながら」は、何時間も語り合うことを示している。ロウソクは、何時間も灯していると、芯が長くなって火が大きくなってしまう。従って、一定時間ごとに切る必要が出てくる。

【原文・書き下し】
君問帰期未有期 君 帰期を問うも未だ期有らず
巴山夜雨漲秋池 巴山の夜雨 秋池に漲(みなぎ)る
何当共剪西窓燭 何(いつ)か当に共に西窓の燭を剪(き)りて
卻話巴山夜雨時 却て巴山 夜雨の時を語るべし

【ポイント】
・「何当共剪西窓燭 卻話巴山夜雨時 (何(いつ)か当に共に西窓の燭を剪(き)りて 却て巴山 夜雨の時を語るべき)」の部分で、妻への想いを述べている所。
→あなたは、大切な人と夜通し語り合ったことはありますか?
→李商隠は、自分の妻に旅先での出来事を話したかったようですが、あなたは、誰に何を語りたいですか?
→「大切な人と話題を共有したい」という李商隠の気持ちについて、あなたは共感できますか?

以上、雨に関する漢詩を3つ紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
外出が面倒になり、ジメジメしてイメージが悪い雨ですが、恵みを感じたり、風流を感じたりと、良い所もあるのかもしれません💡お疲れ様でした!

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