こんにちは。本日は、「漢文の面白い話 ファンタジー×ブラックジョーク・笑い」ということで紹介していきます。
こんにちは。今日も中々くせが強そうな話ですね笑
そうですね笑 特に「漢文は堅苦しくてありがたい内容だ」というイメージがある方は、ギャップで戸惑うかもしれませんね。しかし、漢文には堅苦しくない内容もあります。ここで漢文の意外な?側面を紹介します!
1、死後の世界も大忙し? 閻魔大王の苦労
死後の世界も大忙し? 閻魔大王の苦労
ある幽霊が生まれ変わろうとする際、閻魔大王は金持ちに生まれ変わらせようとの決断を下した。
すると幽霊が言った。「金持ちになろうとは思いません。ただ、一生着る物と食べる物に困らず、面倒事に巻き込まれず、お香を焚き、渋茶を飲んで日々を過ごすことができれば、それで充分です。」と。
大王が言った。「金が欲しいと言うのなら、いくらでも与えて良い。しかし、そのような欲に振り回されない幸福を得ようとするのは許せない。」と。
もしくは、一説によると、幽霊が上のように述べると、大王は玉座から降りてきて言ったそうである。「そんなにのんびりとした良いところがあるのなら、ぜひとも私も連れて行って欲しい。」と。
『笑府』より
これって、つまりどういうことなんですか?オチがあるのは何となく分かるんですが、はっきりとは分からないです💦
この話で面白い所は、「死後の世界も忙しくてゆっくり過ごすことができない」ということです。最後の閻魔大王の「そんなにのんびりとした良いところがあるのなら、ぜひとも私も連れて行って欲しい。」という言葉が物語っています。
なるほど…このセリフって、かなりブラックジョークですよね笑
そういえば、「鬼灯の冷徹」に出てくる閻魔大王や鬼灯(ほおずき)様は、すごく忙しそうですもんね笑
確かに、「鬼灯の冷徹」に出てくる地獄の役人は、みな忙しそうですもんね
生者も亡者も忙しい…笑
あとこの話は、現代日本で見るとまた別の味わい方ができるかもしれません。
人にとって、「金持ちだけど忙しくてゆっくり過ごせない」より「そこそこの生活でゆっくり過ごす」ほうが難しいと捉えることができますね。
現実だと、「貧乏で忙しくてゆっくり過ごせない」人のほうがが多そう…
実際そうですね…中々ブラックな指摘で良いですね!
良い感じで話を味わえていますよ!笑
2、罪を裁こうとするときりがない?
罪を裁こうとするときりがない?
斉の宣王の時、死んでから生き返った人がいて、あの世での話をした。あの世にいた時、閻魔大王が1人の貴人を裁くところを見に行った。
閻魔大王が言った。「お前はどうしてこれほど多くの罪を犯してしまったのか?」と。そこで、これは誰かと尋ねてみた所、魯(ろ)の高官であった季氏(きし)とのこと。
季氏は納得せず「私に罪はない。」と言ったが、大王が言うには「○○の年、斉が攻めてきた時、お前は数万の兵を派遣してそれを防ごうとした。しかし周りは、味方の命を無駄にそこなうだけだと言った。しかしお前は、それでも従わなかった。それで、味方の命を失ってしまった。
また、○年○日に飢饉があったが、お前は聡明な君主を騙して隠し、蓄えておいた食料を民衆に配ることは無かった。そのため数万人を殺すことになった。
またお前は、宰相となりながら職務を全うすることができなかったので、その報いとして水害や干ばつを招いてしまった。これらは全てお前の罪である。」と。
季氏は頭を下げ、承服した。大王が言った。「この者を阿鼻地獄(=地獄の中でも罪が最も重い者が行く所)へ送るように。」と。すると、牛頭(ごず)数人が季氏を捕まえて去って行った。
艾子(がいし)という人がこれを聞き、ずっとため息をついていた。弟子が尋ねた。「先生は、季氏とお知り合いだったのですか。どうしてそこまで悲しんでいらっしゃるのですか?」と。
艾子が言った。「私は季氏のことを悲しんでいるのではなく、大王を気の毒に思っているからだ。」と。
弟子が「それはどのような意味なのでしょうか?」と言うと、艾子はこう答えた。「これから地獄が空になることはないだろうからな。」と。
『東坡居士艾子雑説』より
「これから地獄が空になることはないだろうからな。」っていうのは、つまり、沢山の人が生前に罪を得ているから、地獄で罰を受ける人が多いってことですよね?
その解釈で大丈夫だと思います。
ということは、結局これもまた閻魔大王が忙しいって話にもなりますね笑
そうですね笑 閻魔大王は、恐らく昔から恐ろしいイメージがありましたが、この2つの話からは、身近で親近感が湧く感じです。それが面白い所なのでしょう✨
あと、この季氏の視点に立って考えるのも面白い気がします。
季氏は生前、色々やらかしているみたいですが、そもそも人に迷惑をかけたことがない人ってほとんどいないような…
それはそうですね💡だから、自分や他者が罪を得たり、迷惑をかけたりしても、閻魔大王のように過度に責める必要はないのかもしれません。
あの世の話なのに、現実での教訓にも読めるのは面白いですね笑
3、斜め?な才能の使い道 おならと詩の才能
斜めな才能の使い道 おならと詩の才能
ある秀才が寿命が尽きた。冥府へ行って閻魔大王に会った。たまたま大王がおならをした。
秀才は、すぐにおならをお題とした詩を献上した。それには、「黄金のように輝く尻を高くかかげ、宝のような気を遠くまで広める。それはあたかも琴や笛の音色のようです。あるいは、蘭や麝香(じゃこう)のような素晴らしい匂いのようです。風下に立つ臣(=秀才のこと)は、そのよい香りがたまりません。」とあった。
大王は大いに喜び、10才の寿命を加え、すぐに釈放して現世に帰らせた。10年経って再び大王に会いに行った。この秀才は大きな気持ちになって、大王がいる所まで意気揚々と登っていった。
大王が「あれは誰だ。」と尋ねた。小鬼が言うには、「あれは例の屁の詩を作った秀才です。」と。
『笑賛』より
これは…おならの印象が強すぎて、オチとかどうでもよくなります笑
この話は、才能の使い道が「おならを褒める」という所が面白いですね。ここまでおならを褒めることってできるんですね笑
今後何十年生きても、おならをここまで褒めることはないと思います…笑
ちなみに作者は、この話について、秀才を「恥知らず」として馬鹿にしています。
私はこの人は「愛すべきバカ」って感じで好きですけどね✨
私も嫌いじゃ無いです。自分の能力で利益を得たり、人を喜ばせることができるのなら、それは良いことな気がしますね✨
以上、「漢文の面白い話④ ファンタジー×ブラックジョーク・笑い」ということで3つの話を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
どれも良い意味で漢文っぽくなくて面白かったです!授業で取り上げるのも、こんなやつだったら親しみが持てるかもしれません✨
そうですね💡特に漢文にはじめて触れる際には、ありがたい言葉だったり、教訓じみた話よりは、このようなラフで分かりやすい話のほうが良いのかもしれません。お疲れ様でした!