漢文における「悪(にくむ・あし・いずくんぞ)」の意味について解説 「嫌悪」「悪事」 | ハナシマ先生の教えて!漢文。

漢文における「悪(にくむ・あし・いずくんぞ)」の意味について解説 「嫌悪」「悪事」

ポイント

  • 「悪」には、①「悪」、②「悪(にく)む」、③「悪(あ)し」、④「悪(いずくん)ぞ」の意味がある。
  • ②は読みと意味、③は読みを抑えておくべし。
  • ②は「嫌悪(嫌いて悪(にく)む)」の「悪」③は、「悪事(悪(あ)しき事)」の「悪」で定着させよう。
  • ②「悪(にく)む」を含む熟語として、「賎不足悪。可悪是賎而無能。(賎(せん)は悪(にく)むに足らず。悪むべきは是れ賎(いや)しくして能無きなり。)」が存在する。
  • 人間は、言い訳して努力しない理由を探す生き物なので、罰を設けて他人を巻き込んで、言い訳しづらい状況を作り出そう。

1、「悪」の意味と「憎」「疾」

こんにちは。本日は、漢文における「悪」という漢字について、学んでいきましょう!

「悪」って、「あく」って意味じゃないんですか?

おっしゃる通り、漢文にも①「あく」という意味がありますが、その他②「悪(にく)む」、③「悪(あ)し」という意味もあるため、気を付けましょう!

②「悪(にく)む」 って、「悪」には「憎む」って意味があるんですね💡初耳です。

漢文ではよく登場するので、必ず抑えておきましょう!恐らく、「悪」は「憎むべき事」だから「悪」=「にくむ」という意味に派生した可能性があります。

出た!いつもの嘘のような意味派生笑。でも、単に覚えるよりは分かりやすいので、ひとまず取り入れます。

また、「悪(にく)む」は、「憎む」「疾(にく)む」という類義語があるため、あわせて抑えておきましょう!

「憎む」は知っているけど、「疾」で「にくむ」とも読むんですね💦

「疾」は中々やっかいな漢字であり、「疾(にく)む」の他、「疾(や)む」「やまい」「疾(はや)い」という意味があります。そのうち改めて取り上げます💡

話を戻しましょう。③「悪(あ)し」は、「悪い」という意味なので特に問題ありませんが、読みが少し特殊なので抑えておきましょう!

「悪し」だと「わるし」って読みそうなので気を付けます笑

また「悪」には、 ④「悪(いずくん)ぞ」という意味もあります。「安(いずくん)ぞ」と同じく、「どうして~か」(疑問)か「どうして~か、いや~ない」(反語)という意味です。

なんで「悪」で疑問や反語を表すんですか?💦

これは、悪(お)が他の疑問・反語を表す漢字=焉(えん)・安(あん)・烏(う)と音が近かったことから、代用されるようになったようです💡

えぇ…そんな漢字の使い方ありなんですね💦てゆうか、そんなに音似てないですよね💦?

現代日本語だと、あまり音の近似性が分からないですね。しかし、古代中国語の発音だと、近かったことが分かります。詳しく説明すると、マニアックになるので、何となく知ってもらえれば大丈夫です💡

分かりました!なんか逆に覚えやすくなった気がします!笑

2、「嫌悪」「悪事」と②「悪(にく)む」③「悪(あ)し」

次に、「悪」の意味を知る上で重要な熟語の「嫌悪」「悪事」を抑えましょう!

ナナさん、それぞれ意味から書き下してみましょう!

「嫌悪」=「嫌いて悪(にく)む」、「悪事」=「悪(あ)しき事」ですか?

素晴らしいです!正解です✨

「嫌悪」の「悪」って、よく考えると「悪」じゃないって分かります。「悪」=「あく」だと、「悪を嫌う」になっちゃうから、「不正を嫌悪する」が「不正を悪を嫌う」みたいに、意味不明な日本語になっちゃう💦

良い気づきです✨おっしゃる通り、「嫌悪」の「悪」が①「あく」だと、現代の使い方としておかしくなりますね。

あと、単に③「悪(あ)し」と覚えるより、 「悪事」=「悪(あ)しき事」で定着させたほうが定着しやすいと思います💡

「嫌悪」=「嫌いて悪(にく)む」、「悪事」=「悪(あ)しき事」を通じて、②「悪(にく)む」③「悪(あ)し」をしっかりと覚えます!

3、 ②「悪(にく)む」 を含む名言 人は言い訳する生き物?

最後に、 ②「悪(にく)む」 を含む名言を紹介させて下さい。気に入った場合は、「悪(にく)む」の意味とともに、心に留めておいて下さい。

「悪(にく)む」 を含んだ名言

『呻吟語』

賎不足悪。可悪是賎而無能。

賎(せん)は悪(にく)むに足らず。悪むべきは是れ賎(いや)しくして能無きなり。

貧乏であることは、憎むに値しない、(本当に)憎むべきは、貧乏でかつ能力が無いことである。

賎=貧乏である

「貧乏を言い訳にして、自分を磨くことを忘れるな!」ってことですね💡

その通りです。「貧すれば鈍する」という言葉があるように、金銭的に余裕がないと、努力する余裕も無くなりがちです。この言葉は、そのことを手痛く指摘した名言ですね。

この言葉って、貧乏以外でも成り立つ気がします、何かしら言い訳して努力しない理由を探しているみたいな💦

「時間がないから勉強ができない」
「才能がないから勉強ができない」
「勉強なんて意味ないからしない」などですね…

誰でも考えたことがある気がしますね笑

実際は、お金は節約すればありますし、時間は探せばありますし、才能なんてそれなりに頑張ってみてはじめて分かるケースが大半です。また、少なくとも将来良い待遇で働きたい場合、勉強に大きな意味があることは、子どもでも知っているはずです。

耳が痛いなぁ…💦

ナナさんは頑張ってるから大丈夫ですよ。とはいっても、色々と事情があって頑張れない人がいるのも事実ですけどね。

ちなみに、言い訳癖を直したい場合、「努力せざるを得ない状況を無理やり作り出す」のがオススメです。

「努力せざるを得ない状況を無理やり作り出す」 ?

例えば、「倹約家の人に毎月家計をチェックしてもらう」「今度のテストで○○点取れなかったら、友だちにご飯をおごる」「毎週○○時間勉強できなかったら、友だちから罰ゲームを受ける」などですかね。

自分で自分を追い込むことと、他人を巻き込むことが大切なんですね💡

その通りです。特に「他者を巻き込む」については、やはり1人だけだと継続して努力したり、何かを改善するのは難しいですからね。有効だと思います。

②「悪(にく)む」から、だいぶ離れた話に行っちゃったけど、面白かったので名言も一緒に知っておこうと思います✨

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です