仕事がしんどい・辛い方へ 心が軽くなる漢文の名言・話 3選 | ハナシマ先生の教えて!漢文。

仕事がしんどい・辛い方へ 心が軽くなる漢文の名言・話 3選

上司や同僚、取引先との人間関係、ノルマの達成、仕事の多さ、出世競争など、仕事ってしんどくて辛いですよね。
このページでは、仕事がしんどい・辛い方へ贈りたい漢文の名言や話を紹介します。
すぐに問題が解決する訳ではありませんが、少しは心が軽くなると思います。リフレッシュのきっかけになれば幸いです✨

1、今の辛さが未来の幸せのきっかけになる? 塞翁(さいおう)が馬

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塞翁(さいおう)が馬

 とある国境の砦に、父親と息子が暮らしていた。ある日、父親の飼っている馬が逃げ出した。(当時の馬は大切な財産)それを知った近所の人たちは、父親を慰めに見舞った。「お気の毒に」と。

 すると父親はこう返した。「それはどうだろう。この災難が幸福になるかも知れないよ。」と。そしてしばらくたったある日、なんと逃げた馬が、たくさんの野生の駿馬(しゅんめ)を従えて戻ってきた。その出来事に、近所の人たちもお祝いに駆けつけた。「逃げた馬が戻って来ただけでなく、駿馬を連れ帰ってくるとは、よかったですね。」と。

 すると父親はこう返した。「それはどうだろう。この幸福が災難になるかも知れないよ」と。ある日、息子が野生の馬を手なずけようとした際、落馬し足を骨折してしまった。その野生の馬とは、以前逃げ出した馬が連れ帰った駿馬である。ご近所さんたちも、お見舞いに訪れた。「かわいそうに息子さん、大怪我をしてしまったな。」と。

 すると父親はこう返した。「それはどうだろう。この災難が幸福になるかも知れないよ」と。そのうち、その父親と息子が暮らす地域でも戦が始まり、集落の若者は駆り出されることとなった。しかし父親の息子は、足を骨折していたため戦力にならないという理由から、徴兵を免れることができ、うまく生き残った。

 この話から明らかなように、幸福が災難となり、災難が幸福となることもあるのである。そして、このような変化のありさまを見極めることは非常に難しいのである。

出典→『淮南子』

この話からは、「何が幸福で何が不幸かは最期まで分からない」という教訓が読み取れます。
たとえば、今の職場の状況が悪かったとして、それは辛くて不幸に感じるかもしれませんが、後々その経験が幸福に繋がる可能性はあります。

(例1)
・高圧的で嫌な上司の部下になってしまった。(不幸)
→自分が上司になった時、部下に優しく接することができ、慕われるようになった。(幸福)

(例2)
・出世競争に負けて同期に後れを取ってしまった。(不幸)
→出世しなかった分、時間に余裕ができてプライベートを充実させることができた。(幸福)

(例3)
・ブラック企業に就職してしまった。(不幸)
→そこそこの企業に転職しても満足できる。満足のハードルが下がる。(幸福)

未来のことは不確定なのですから、どうせなら視野を広く持ってポジティブに考えてみると、心が軽くなるかもしれませんね✨
あなたの辛い状況を作っている要素は、今後どのようにプラスに働いていきそうですか?一度考えてみましょう。

2、役に立たない存在のほうが幸せ? クヌギの木の話

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役に立たない存在のほうが幸せ?(『荘子』より抄訳・補足)

 とある大工の棟梁が、斉(せい)に出かけた。その地の社(やしろ)には、神木と呼ばれるクヌギの樹があった。その樹は、山を見下ろすほど大きく、この樹を材料にすれば、船が何十も作ることができそうな程であった。しかし、棟梁は目もくれず素通りしてしまった。

 お供の弟子は神木に尋ねた。「私が棟梁に弟子入りして以来。こんなに素晴らしい木材は見たことがありません。しかし、棟梁は素通りされました。それはどうしてですか?」と。

 「あれはつまらない木だ。あれで船を作れば沈むだろうし、棺桶を作ればすぐ腐るだろうし、道具を作ればすぐ壊れるだろうし、柱にすればすぐ虫が食うだろう。つまり、全く役に立たない木だ。使い道がない。だからこんなに長生きできるのだ。」と。

 棟梁が家に帰ると、神木が夢に出てきてこう言った。「お前はわしを何と比べるつもりか?ナシやユズなどの実のなる木は、実が熟すればもぎとられ、辱めを受けることになる。つまり、なまじ人の役に立つという取り柄があるからこそ、かえって自分の命を苦しめてしまうのだ。

 これは木に限らず、人も同じである。才能があるからこそ、使い倒されて早死にしてしまう。私は、ずっと以前から、役立たずでありたいと願ってきたのだよ。」と。

この話は、特に職場で活躍できていない方へ読んで欲しいです。活躍できている同僚が羨ましいと思っているかもしれませんが、もしかしたらその認識は誤解かもしれません。

なぜなら、そういう有能な人材は、周りから頼られすぎて使い潰されるのが世の常だからです。

「有能で多くの人から頼られるけど、余裕がなくてプライベートを充実させられない生活」と、「有能ではなくて周りから頼られることは少ないけど、余裕をもってプライベートを充実させられる生活」なら、どちらが良い人生でしょうか?
少なくとも、どちらかすぐに選べない程には、後者も魅力的だと思います。

3、競争に疲れたあなたへ 争わず自分のペースで頑張れば楽になる?

【現代語訳】
人と先を争いはじめると、その道はとても狭く険しい。
一方、人より一歩遅れ(ても良い)という意識を持てば、苦労なく悠々と進むことができる。

【本文・書き下し】
争先的径路窄。退後一歩、自寛平一歩。
先を争うの径路は窄(せま)し。退き後るること一歩なれば、自ら一歩を寛平にす。

競争で勝つことはとても難しいです。競争が人を成長させることもありますが、負けて大きなストレスを抱えたり、自信喪失してしまう可能性もあります。

他者より優れようという意識を捨て、自分のペースで頑張ることができれば、努力も苦ではなくなるかもしれません。
(さらに言えば、比較対象を他者ではなく過去の自分にすれば、ほぼ確実に成長を実感できますし、無理なく頑張れます。)

以上、仕事がしんどい・辛い方へ 心が軽くなる漢文の名言・話を3つ紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?少しでも心が軽くなってもらえると嬉しいです。お疲れ様でした!

2 COMMENTS

RDT

世の中、有能な人材や即戦力ばかり求められて、無能な人は生きにくいと常々感じていました。ですが、クヌギの木の話を読んで、能力がない方が余裕をもって生きていけるという考え方は、仕事で疲れた私の心に染みました。

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