ポイント
- 「中(あ)つ」には、①「(的や予想が)当たる」 ②「(毒や酒に)あたって損なう」③「傷付ける」という意味がある。
- それぞれ①「的中(的(まと)に中(あ)つ)の中」、②「中毒(毒に中(あ)つ)の中」、③「中傷(中(あ)てて傷つく)の中」で定着させるべし。
- 辞書や参考書通りの意味をそのまま使うのは止めるべき。言葉は場面や文脈によって、柔軟に適切な言い回しや表現に変えなければ、意味がよく分からなくなってしまう。
- 「中(あ)つ」を含む名言として、李白「孟浩然に贈る」の「醉月頻中聖、迷花不事君。(月に醉うて頻(しき)りに聖に中(あた)り、花に迷いて君に事(つか)えず。)が存在する。
1、「中(あ)つ」の意味と「的中」「中毒」「中傷」
こんにちは。本日は、「中(あ)つ」について学んでいきましょう!
「中(あ)つ」?あんまり見たことないなぁ…「当たる」って意味ですか?
素晴らしい!その通り、「中(あ)つ」には①「(的や予想が)当たる」という意味があります。その他、 ②「(毒や酒に)あたって損なう」③「傷付ける」という意味があるので、気を付けましょう!
「中(あ)つ」だけで3つの意味があるんですか?💦覚えるのちょっと大変だなぁ…💦
ナナさん、私の授業では「単に覚えるだけ」ではなく、「理解して定着させる」「自分の知識に紐付けて定着させる」のを目標にしています。漢文で覚えるべき語句の多くは、現代日本語の熟語でどうにかなります!
「中(あ)つ」については、
①「(的や予想が)当たる」=「的中」の「中」
②「(毒や酒に)あたって損なう」=「中毒」の「中」
③「傷付ける」=「中傷」の「中」
となります。
ちなみに、「的中」「中毒」「中傷」を書き下すとどうなりますか?
「的(まと)に中(あ)つ」、「毒に中(あ)つ」、「中(あ)てて傷つく」って感じですか?
正解です!難しいのに完璧です✨
ちなみに、「的中(的(まと)に中(あ)つ)」は、本来だと「中毒」と同じく「動詞+名詞」で「中的」の順番が自然ですが、「的中」となっていて特殊ですね。
あと、「中傷」は「中=傷」です💡
今更ですけど、「中傷」の「中」ってよく考えると「傷付ける」って意味なんですね…何気なく使ってるけど、全く意識してなかったです💦
身近なものでも改めて発見があると、とても面白いです✨
2、「中(あ)つ」の名言 李白「孟浩然に贈る」
次に、「中(あ)つ」を含んだ名言について紹介させてください。
李白「孟浩然に贈る」(一部抜粋)
醉月頻中聖、(月に醉うて頻(しき)りに聖に中(あた)り)
迷花不事君。(花に迷いて君に事(つか)えず。)
月に酔いしれてしょっちゅう酒に酔い、
花に魅せられては天子に仕えようとしない。
頻(しき)りに=しょっちゅう 聖=酒。昔は、酒のことを「聖人」と表現することがあった。 事えず=仕えない
なんか、めちゃくちゃオシャレでロマンチックですね✨
李白の作品は、ロマンチックなものが多いですからね💡この詩は、仲が良かった孟浩然に贈ったものですが、浮世離れして悠々自適な孟浩然の心情について、オシャレに表現した上で賞賛しています。
ここでは、②の「中る」の意味で、「聖(酒)に中る」=「酔っ払う」って訳されている訳ですね💡
その通りです。これは、「中る」に限らずですが、辞書や参考書通りの意味をそのまま使うのは止めましょう!言葉は場面や文脈によって、適切な言い回しや表現に変えなければ、意味がよく分からなくなってしまいます✨
確かに、ここで「酒にあたって損なう」なんて訳したら、意味がよく分かりませんもんね。
でも、じゃあはじめから②は「酒に酔う」って書いてくれたほうがよくないですか?💢
お怒りの気持ちは分かりますが、②は別に「酒に酔う」だけではなく、「毒に当たる」という意味があります。その共通する核の部分が「損なう」なのです。だから、あえてぼかした意味を提示しています💡
なるほど…具体的にすれば、対応力がなってしまうということですね💡
もちろん私も、できるだけ分かりやすく具体的に意味を表現したいと思っています。しかし、どうしても抽象的に表現せざるを得ない意味もあります。この点には気を付けましょう!
意味の核をしっかりと掴んだ上で、文脈をしっかりと読んで使いこなせるようになります!